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リフォームで住宅ローン控除は使える?要件や手続き方法、併用の可否
リフォーム時にかかる金銭的な負担を抑えたいなら、控除や減税などの制度を活用することが大切です。使いやすい制度としては住宅ローン控除があげられ、これを適用することで長期にわたって税制優遇が受けられます。
賢く利用するには、適用の要件や方法を知っておく必要があります。住宅ローン控除の正しい使い方を知り、お得にリフォームを行いましょう。
「現在申請できるリフォーム補助金」については、下記の記事もご覧ください。
【関連記事】
>>リフォームの費用相場
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目次
リフォームで利用できる住宅ローン控除とは?
まずは住宅ローン控除とはなんなのか、基本的な概要から知っておきましょう。住宅ローン控除は住宅購入時に限らず、リフォームをするときにも使えます。活用することで税負担が減ることがメリットです。
リフォーム時に利用できる所得税控除の1つ
リフォーム時に使える税制優遇制度には大きく下記の表に示した3つがありますが、住宅ローン控除はそのうちの1つです。
それぞれに特徴がありますので、住宅ローン控除に決め込まず自分に合った制度を活用することが重要になります。
項目 | 控除対象期間 | 控除額 | 要件 |
---|---|---|---|
投資型減税 | 1年 | 工事費用などの10%(控除対象限度額200万円、または250万円) | ローンの有無に関係なく使える |
ローン型減税 | 5年 | 性能向上リフォームの2%および毎年の年末リフォームローン残高の1%(控除対象額限度1,000万円) | 5年以上のローンを組んでいること |
住宅ローン控除 | 10年 | 毎年の年末リフォームの残高の1% 最大控除額40万円 |
10年以上のローンを組んでいること |
住宅ローン控除は、他の所得税控除よりも適用期間が長いことが特徴で、基本的には10年間利用できます。
住宅ローン控除の内容は、毎年少しずつ変更になることが多いため、国土交通省や国税庁のホームページから、最新情報を確認しておきましょう。
>>住宅ローン控除を受ける方へ|国税庁
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リフォームの住宅ローン控除の適用要件
ここからは、リフォーム時に住宅ローン控除を使うための要件や対象になる住宅について解説します。
住宅ローン控除の適用要件
-
住宅の引き渡し、または工事の完了から6カ月以内に自ら居住すること
-
リフォーム工事費が100万円を超えること
-
リフォーム工事後の床面積が50平米以上であること
-
住宅ローンの返済期間が10年以上であること
-
年収が3,000万円以下であること
控除の対象とならない住宅の例
-
別荘
-
セカンドハウス
-
貸家
-
親のために建てた家
基本的に自身がメインで住む家が対象になると覚えておきましょう。
また、「居住部分の工事費がリフォーム全体の費用の2分の1以上であること」も控除要件の1つです。自宅が事務所を兼ねている場合は把握しておきましょう。
控除の対象となるリフォーム工事
-
大規模の修繕または模様替え工事
-
マンションなど区分所有部分の床、階段、または壁の過半について行う一定の修繕・模様替の工事
-
家屋の居室、キッチン、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、または廊下の一室の床、壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
-
耐震改修工事
-
一定のバリアフリー改修工事
-
一定の省エネ改修工事
これらの工事内容に該当し、かつ所得額などの制度共通の要件を満たしていると、リフォーム時にも住宅ローン控除が適用できます。
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住宅ローン控除の手続き方法
要件を満たすリフォーム工事を行ったうえで、必要な手続きをすることで住宅ローン控除を受けることが可能になります。
必要な手続きは以下の2つです。
- 確定申告
- 年末調整
それぞれに行うタイミングが異なりますので、把握しておきましょう。
確定申告は初年のみ必要
リフォームにおける住宅ローン控除は、最大10年間受け続けることができますが、確定申告はそのうち最初の年だけ必要な手続きです。確定申告を行ったあとは、翌年以降は申告の必要はありません。
手続きの方法
確定申告の方法は複数あり、税務署や確定申告会場で書類を提出するか、郵送やパソコンを使った電子申告という方法もあります。必要書類を用意して、期限内に提出するということが基本の流れで、手続き自体は難しくありません。
申告期間はリフォームを行った翌年の2月16日~3月15日です。ただし、土日祝日の関係で若干の変動がありますので、詳細は国税庁のホームページからご確認ください。
>>国税庁ホームページ
申請手続きに必要な書類
確定申告を行う際には、次の書類を用意しましょう。
・確定申告書
→税務署や申告会場、ホームページなど
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
→税務署や申告会場、ホームページなど
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)
→金融機関から必要な時期に届く
・住宅の登記事項証明書(原本)
→法務局で発行
・住宅の請負契約書の写しまたは売買契約書の写し
→売買取引時に取得
・土地の登記事項証明書(原本)
→法務局で発行
・土地の分譲に係る契約書の写し
→土地取引時に取得
・源泉徴収票(原本)
→働いている企業から入手
・マイナンバーカード(原本または写し)
→お住いの市区町村の役所にて入手
初年以降は年末調整だけ
複数年にわたって控除を適用する場合は、確定申告を行った翌年以降は、年末調整にて手続きをします。年末調整は勤務先でできる手続きで、確定申告と比べると手順も簡単です。
申請手続きの方法
年末調整は勤務先にて求められた書類を提出するだけで完了です。勤務先に提出が必要なのは生命保険料控除申告書で、これを出す際に住宅ローン控除に必要な書類を併せて提出します。
申請手続きに必要な書類
年末調整の際に必要な書類は、次の2つです。
・[text style=”16″]給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
書[/text]
→税務署から届く
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)
→金融機関から届く
「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を取得するためには、初年度の確定申告時に、控除証明書の要否欄の書き方に注意が必要です。
ここで「要する」に丸をつけておかないと、税務署から書類が届きません。確定申告時に忘れずに丸をつけておきましょう。
確定申告時にきちんと手続きをしていれば、書類は問題なく届けてもらえるため、自分から動いて取得しに行くという手間もありません。
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リフォームの住宅ローン控除でいくら戻る?
年末時点での住宅ローン残高の1%、あるいは最大控除額である40万円のどちらか小さい方の金額が戻ります。
例:年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合
3,000万円 × 1% = 30万円
→最大控除額40万円よりも小さいため、30万円が戻ります。
例:年末の住宅ローン残高が5,000万円の場合
5,000万円 × 1% = 50万円
→最大控除額よりも大きいため、最大控除額40万円が戻ります。
所得税から引ききれなかった分は住民税が控除される
例えば、以下のようなケースがあったとします。
・年末時点のローン残高:3,000万円
・税込年収:400万円
・所得税額:10万円
・住民税:14万円
住宅ローン控除による控除額は3,000万円の1%で30万円。しかし、所得税は10万円であるため引ききることができません。
そのような場合、引ききれなかった分は住民税から控除されます。
その際、住民税は課税所得金額の7%、もしくは「13万6,500円」のいずれか小さい方が控除額です。課税所得金額とは、所得額から経費や各種控除を差し引いた金額のことで、源泉徴収票で確認することができます。
税込年収400万円で計算すると、7%は28万円のため、より金額の低い13万6,500円が控除額です。
所得税分の10万円と、住民税分の13万6,500円の両方を足した23万6,500円が、このケースでの住宅ローン控除額です。
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住宅ローン控除とその他の減税制度は併用できる?
減税の種類 | 住宅ローン控除との併用可否 |
---|---|
ローン型減税 | × |
投資型減税 | △(耐震改修のみ可) |
固定資産税の軽減措置 | 〇 |
記事冒頭にて、リフォーム時に使える所得税控除の制度には、「住宅ローン控除」の他に「投資型減税」「ローン型減税」があるとご紹介しました。
これらはいずれも所得税を控除する制度です。よって住宅ローン控除との併用は基本的にはできません(例外的に、耐震改修を目的とするリフォームを行う場合には、投資型減税との併用が可能です)。
また、リフォームによって減税になりうるのは所得税だけではなく、特定のリフォーム工事によって固定資産税が軽減されることもあります。
住宅ローン控除と固定資産税の軽減措置の併用は可能です。
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他控除や減額措置も忘れずにチェックする!
リフォーム時に適用できる減税措置は他にもあり、使いやすいものだと次の2つがあげられます。
- 1.固定資産税の減額措置
- 2.贈与税の非課税措置
住宅ローン控除以外も上手に使い、コスト負担を賢く抑えましょう。減税制度についてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
固定資産税の減額措置
耐震やバリアフリー、省エネリフォームや長期間使える住宅にするためのリフォームだと、固定資産税の減税措置が受けられます。
リフォーム内容 | 優遇内容 |
---|---|
耐震リフォーム | リフォームした翌年の固定資産税額が2分の1 |
バリアフリーリフォーム | リフォームした翌年の固定資産税額が3分の1 |
省エネリフォーム | リフォームした翌年の固定資産税額が3分の1 |
長期優良住宅化リフォーム | リフォームした翌年の固定資産税額が3分の2 |
工事内容によって減税額は異なりますが、固定資産税の減額措置を受けるためには、工事完了から3カ月以内に市区町村へ完了報告をしなければなりません。
贈与税の非課税措置
次の条件に該当する場合は、贈与税の非課税措置が適用されます。
- 贈与時に日本国内に住所を有している
- 贈与時に贈与者の直系卑属である
- 贈与年の1月1日において20歳以上
- 贈与年の合計所得金額が2,000万円以下
- 贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得などの資金の全額をあてて住宅用の家屋の新築、あるいは取得や増改築をすること
- 贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住する
通常110万円以上の贈与から贈与税は発生しますが、これらの条件を満たし、住宅の新築や取得、増改築を行った場合は贈与税の控除が受けられます。
また、契約した期間によって控除額が異なる点にも、注意する必要があります。消費税10%が適用されている場合は、次のように控除額は変化します。
契約年 | 質の高い住宅の控除額 | 一般住宅の控除額 |
---|---|---|
平成28年1月~31年3月 | – | – |
平成31年4~32年3月 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成32年4月~33年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成33年4月~33年12月 | 1,200万円 | 700万円 |
また、消費税10%が適用されていない場合の控除額は、次の通りです。
契約年 | 質の高い住宅の控除額 | 一般住宅の控除額 |
---|---|---|
平成28年1月~32年3月 | 1,200万円 | 700万円 |
平成32年4月~33年3月 | 1,000万円 | 500万円 |
平成33年4月~33年12月 | 800万円 | 300万円 |
それぞれ契約年によって控除額が異なるだけでなく、住宅の要件次第でも金額は変動します。なお、「質の高い住宅」とは次の条件を満たすもので、これに当てはまらないものは一般住宅であると考えましょう。
- 断熱等性能等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、または免震建築物の住宅
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅
他にも、リフォームする建物の細かい条件なども設定されています。したがって、贈与税の制度を利用する場合は、国土交通省のサイトから細かい要件を確認しておく必要があります。
参考:国土交通省
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費用を抑える住宅ローン控除以外の4つの方法
リフォームにかかる費用を抑えるには、控除や減税の制度を利用する以外にも方法があります。
- 1.複数のリフォーム業者から見積りをもらう
- 2.必要な設備は施主支給する
- 3.リフォームは一度にまとめて行う
- 4.地元の工務店に依頼して手数料を削減する
これら4つを駆使して、少しでもお得にリフォームを行いましょう。
複数のリフォーム業者から見積りをもらう
少しでもお得にリフォームをするためには、一括見積もりサイトで信頼できる業者を探すことが大切です。同じリフォーム内容でも、業者によって提示する金額が違うことは多く、それぞれで比較しなければ高額な費用で依頼することにもなりかねません。
また、業者によっては住宅ローン控除など、各種減税や減額制度を適用するためのサポートをしてくれることもあります。サポート体制が充実しているかどうかで、制度の利用のしやすさも変わるでしょう。より確実に控除などの制度を利用して費用負担を抑え、かつ工事費用自体も安くしたいなら、念入りに業者を選定することが大切です。
一括見積もりサイト「リフォスム」では、リフォームの専門知識を持った相談員が、おすすめの業者をご紹介します。工事内容に合った業者を提示するので、信頼できてコスト削減がしやすい業者を選びやすくなるため、ぜひ利用してみてください。
必要な設備は施主支給する
住宅設備機器の交換リフォームを行う場合は、必要な設備を家電量販店や家具店などで購入し、業者にそれを使ってもらうということも可能です。量販店で安価で設備を購入することで設備代を安く済ますことができ、後は設置工事の費用だけでリフォームができます。
ただし、業者によっては指定の設備しか工事を請け負っていなかったり、業者購入のほうが安くなったりすることもあるため、注意しなければなりません。設備は自分で用意しても構わないか、自分で買ったほうが安いかどうかは、事前に確認しておきましょう。
リフォームは一度にまとめて行う
1箇所だけのリフォームよりも複数箇所のリフォームのほうが割がよくなるため、行うならまとめて複数箇所同時にリフォームすることがおすすめです。リフォームの際には出張費や準備にかかる諸経費など、こまごまとした費用ががかかります。
なん度も業者に依頼すると、そのたびに諸経費がかかりますが、複数箇所をまとめて行うなら経費は1回分のみで済み、コストは下げられます。また、複数箇所同時に行うとお得なセット料金を適用してもらえることも多いです。
1回で支払う金額はリフォーム箇所が増えると当然増加しますが、長い目で見るとまとめて行ったほうが割安となってお得にはなるでしょう。
地元の工務店に依頼して手数料を削減する
リフォームを依頼するなら、下請けに出さず、自社で工事を行う地元の工務店などがおすすめです。大手のリフォーム会社などは、工事を依頼すると下請けに出すため、中間マージンがかかってしまいます。
この手数料分確実に費用は高くなるため、直接請け負ってもらえる業者に依頼して手数料を削減することがおすすめです。
手数料が出るかどうかは、業者が下請けに出すかどうかで決まるため、直接契約できる業者を選ぶと、確実にコストは削減できます。
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住宅ローン控除は専門家に相談するのがおすすめ
住宅ローン控除の仕組みがわかりにくいと感じたら、控除内容や減税制度に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。専門家を探す場合、一級建築士事務所を併設している業者や知識が豊富で信頼できる業者に聞いてみるとよいでしょう。
たとえば、リフォーム控除を申請する際には増改築等工事証明書の提出が必要なケースがあります。この証明書は建築士が在籍する業者しか発行できないため、リフォーム業者からこの書類が発行されたのであれば建築士が在籍していることが確認できます。
リフォームにも適用できる住宅ローン控除は、上手に活用することで金銭的な負担を削減できます。賢く使うには、適用の要件から適用方法までを把握しておくことが大切です。
また、税制優遇制度以外にもコストカットできる方法はあるため、さまざまなやり方を試して、リフォームにかかるコストを少しでも減らしましょう。