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リフォームで床下収納の後付けにかかる相場費用やポイントを徹底解説

「床下収納」と聞くと、一戸建てのキッチンに設置された、地下にある収納スペースを想像しませんか?
実は、床下収納には様々な種類があり、マンションに設置できる床下収納や、リフォームに対応した後付け設置が可能な床下収納なども用意されています。
本記事では、床下収納の魅力や用途を紹介すると共に、床下収納後付け設置にかかるリフォーム費用や注意点を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
床下収納とは
床下収納とは、文字通り家の床下に作られる収納スペースです。
一般的な戸建て住宅やマンションの1階部分の地下には、建築基準法によって一定の空間を作ることが義務付けられています。
この空間は、主に通気性の確保や点検などに必要という理由から設けられるものです。
しかし、せっかくの床下空間をそのままにしておくのはもったいないという考えから、床下空間の有効活用として床下収納が生まれたと言われています。
日本の風土や住宅事情によって生まれた床下収納には、収納スペースが固定されているタイプと、収納スペースをスライドできるタイプがあります。
収納スペースが固定されている床下収納は、収納されているものが一目でわかるため、買い物をしすぎる心配がありません。
また、床に設置された扉を開けるだけで床下収納を使用できるので、収納作業をスムーズに行える点が大きな魅力です。
床下の空間にスライドできる収納スペースを複数設置できる床下収納は、固定タイプの床下収納よりも多くの物を収納できる点が最大の魅力です。
しかし、床下収納に収納されている全てのものを一目で確認できない点や、物を入れすぎてしまうとスライドさせづらくなるというデメリットがあります。
床下収納の後付けリフォームを検討する際は、「何を」「どれくらい」収納したいのかをシュミレーションすると良いでしょう。
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床下収納5つの種類
床下収納の後付けリフォームを行うには、床下収納の種類を知り、収納量や予算に合ったものを選ぶ必要があります。
この章では、扉のタイプごとに5種類の床下収納を紹介します。
床下収納の種類ごとに適した設置場所があるので、ぜひリフォームの参考にしてください。
また、各種床下収納には、浅型と深型という深さの違うものが用意されています。
それぞれのメリット・デメリットを紹介するので、ライフスタイルに合ったものを選びましょう。
ちなみに、一戸建てであれば点検口を兼ねた形で床下収納を後付け設置できます。
キッチンをはじめ、洗面所や廊下など、収納が足りていない場所に設置すると便利です。
扉のタイプや深さの違いを含めた床下収納の種類は、大きく6種類あります。
タイプその1:スライド
扉がスライドするタイプは、2枚の扉と2つの収納スペースを持つ床下収納です。
しかし、一般的な住宅に取り付けられている窓サッシと同様の構造なため、片方の扉をスライドさせると、もう一方の扉は開けることができません。
そのため、大きな物の収納には適さないというデメリットがあります。
では、扉がスライドするタイプの床下収納にメリットはないのでしょうか?
このタイプの特徴は、床下収納の扉を持ち上げないですむという点です。
本記事で紹介する5種類の床下収納の中で、最も扉の開閉が楽に行えるのがこのタイプです。
床下収納の扉の開閉に苦労されている場合は、こちらのタイプへのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか?
タイプその2:扉収納
床下収納のフタ部分が扉のような構造になっているタイプを、扉収納タイプの床下収納と言います。
扉収納タイプの床下収納は、物を持っている状態でも簡単に片手で開閉できます。
また、床下収納を開けた状態でキープできる点が特徴です。
戸建て住宅などでは、スライド式の収納スペースと組み合わせて使用されることが多く、収納量を活かせるキッチンへの設置がおすすめの床下収納です。
デメリットとしては、収納作業中に扉が多少邪魔になるという点があげられます。
床下収納の後付けリフォームを検討する際は、次に紹介する「扉取り外しタイプ」のメリット・デメリットと比較して、ライフスタイルに合った方を選ぶと良いでしょう。
タイプその3:扉取り外し
扉取り外しタイプの床下収納は、床下に取り付けた収納ボックスの上にフタ部分が置かれたような構造になっています。
そのため、床下収納を利用する際は、完全にフタ部分を取り外すことができます。
床下に取り付けた収納ボックスとほぼ同じ大きさでフタが外せるので、収納作業がスムーズに行えますし、大きな物の収納も可能です。
また、通気性の良い建物であれば、取り付け場所を選ばないという点も魅力の1つです。
一方で、床下に取り付ける収納ボックスが大きくなればなるほど、フタ部分の開閉が大変になってしまうというデメリットがあるので、サイズ選びは慎重に行いましょう。
タイプその4:引き出し
引き出しタイプは、主に和室の小上がり(10〜20cm程度の段さ)を利用して取り付けられる引き出し構造の床下収納です。
以外にもマンションで高く採用されているのが、この引き出しタイプの床下収納です。
マンションの間取りには、リビングダイニングと隣接する形で和室を採用している設計が少なくありません。
こうした設計の場合、小上がりを作ることで洋間と和室の隣接部分にメリハリをもたせ、引き出しタイプの床下収納によって収納スペースを確保しています。
引き出しタイプの床下収納は、1階以外にも取り付けられる点が最大の魅力ですが、比較的はっきりとした段差が生まれるため、転倒事故などには注意が必要です。
タイプその5:跳ね上げ
跳ね上げタイプは、畳1畳分ほどの大きさの扉を開閉できる大容量の床下収納です。
ある程度広いスペースが必要になるため、家具の少ない和室や寝室などで採用されることが多いタイプです。
跳ね上げタイプの床下収納は、腰掛け程度の高さの物を据え置く場合や、床下の下地を取り除いて埋設設置する場合などがあります。
据え置く場合は、部屋の広さや求める収納量に応じて自由にアレンジができるので、ライフスタイルにあわせた床下収納を楽しめます。
埋設設置を行う場合は、戸建ての1階部分であることや、床下の通気性に合わせた気密性のある商品を選ぶなどの制約がある点に注意が必要です。
【番外編】浅型・深型
扉のタイプごとに5種類の床下収納を紹介してきましたが、それぞれに深さや高さの違うものが用意されています。
浅型タイプの床下収納は、収納量が減ってしまうデメリットはあるものの、収納されているものが取り出しやすく、深型タイプよりも楽な姿勢で収納作業が行える点が魅力です。
一方の深型タイプの床下収納は、収納量が多く、高さのあるものでも収納できる点が魅力です。
床下収納の後付けリフォームを検討する際は、使用頻度や使用者の健康状態などを考慮して最適なものを選ぶと良いでしょう。
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床下収納を後付けする相場費用
これまでに、床下収納の種類や特徴を紹介してきましたが、実際に後付けリフォームをする場合の相場はどのくらいなのでしょうか?
床下収納の種類や大きさ、施工方法によっても費用は変わりますので、具体例を交えながら以下の2項目に分けて詳しく紹介します。
戸建に床下収納を後付けする場合
戸建に床下収納を後付けする方法は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、これまでに紹介している「スライドタイプ」「扉収納タイプ」「扉取り外しタイプ」などの床下ユニットを取り付けるという方法です。
戸建の床下には、建築基準法によって高さ45cm以上のスペースが作られています。
そのため、キッチンや洗面所などの床に開口工事を行うだけで床下ユニットが取り付けられるようになります。
この後付け工事にかかる費用の相場は、施工費などを含めて10〜30万円です。
床下収納の後付け工事は、商品の種類や現場の状況によって大きく変わる場合があるので、必ず事前の見積もりを取るようにしましょう。
2つ目は、和室の畳1畳分を「跳ね上げタイプ」の床下収納へリフォームするという方法です。
和室の床下にも、建築基準法によって高さ45cm以上のスペースが作られています。
そのため、畳1畳を取り外し、下地部分に開口工事を行うだけで跳ね上げタイプの床下収納を後付けすることが可能です。
跳ね上げタイプの床下収納は、畳1畳分の扉の開閉が必要になるため、少しの力で開閉ができるガスダンパー式や、スイッチ操作で開閉ができる電動式などが用意されています。
扉の開閉システムによって費用は大きく変わりますが、この後付け工事にかかる費用の相場は、施工費などを含めて20〜40万円です。
マンションに床下収納を後付けする費用
マンションに床下収納を後付けする方法もまた、大きく分けて2つあります。
1つ目は、戸建と同様に床下ユニットを取り付けるという方法です。
この方法で床下収納を後付けするためには、「床下に空間があり、共用部分ではなく専有部分としてリフォームが可能」という条件が必要になります。
条件をクリアし、戸建と同じ工事を行った場合の費用の相場は、施工費などを含めて10〜30万円になります。
2つ目の方法は、床の上に新たな床構造を造作し、かさ上げした空間に床下収納を後付けするという方法です。
一般的なマンションの場合、構造上床下に空間がありません。
そのため、本来は床下収納の後付け工事は出来ないのですが、このかさ上げ工事を行えば、好きな場所に床下収納の後付けができます。
施工例としては、6畳の洋間を小上がりのある和室へリフォームし、小上がり部分を床下収納として活用するというものがあります。
この施工を行う場合の費用の相場は、施工費を含めて30〜40万円です。
ただし、この工事方法には小さくないデメリットがあります。
それは、床をかさ上げした弊害として、相対的に天井が低くなってしまうという点です。
天井が低くなると、圧迫感を感じやすくなるため、快適な住空間を損ねてしまいます。
マンションでの床下収納の後付けには、収納量アップというメリットと住空間を損ねるというデメリットがありますので、しっかりと検討してください。
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床下収納を後付けする時の注意点
あると便利な床下収納ですが、取り付けに適さない場所や、そもそも取り付けができない場所が意外にも多くあります。
この章では、戸建とマンションの場合に分けて、床下収納を後付けするときの注意点を解説します。
また、床下収納の天敵ともいえる湿気についても対策方法を紹介しますので、参考にしてください。
戸建の場合
戸建に床下収納を後付けするときの注意点は、以下の3つです。
注意点1:構造を確認する
戸建の床下には空間があるため、どこでも床下収納が後付けできると思われるかもしれませんが、それは間違いです。
一般的な戸建住宅の床下には、基礎や梁といった建物を維持する重要な構造部分があり、この構造部分を傷つけてしまうと建物の強度が著しく低下してしまいます。
床下収納の後付けを検討する際は、建物の構造をしっかりと確認するようにしましょう。
注意点2:配管設備や基礎がある場所
注意点1と類似する部分ですが、配管設備の経路についても確認が必要です。
戸建住宅には、給水配管・給湯配管・排水管・ガス管など、様々な配管が床下や壁の内側に通されています。
床下収納の後付けを行った際に、これらの配管を傷つけてしまうと、余計な費用がかかってしまうので注意しましょう。
注意点3:通気が悪くなる場合
戸建住宅の床下には、通気性を確保するための空間が作られています。
また、通気性を高めるための通気口や、床下でのメンテナンスが行えるように人通口というスペースが設置されています。
こうしたものを遮る形で床下収納を後付けしてしまうと、様々な支障が発生し、結果的に住宅の寿命を縮めてしまうので注意しましょう。
マンションの場合
マンションに床下収納を後付けするときの注意点は、以下の4つです。
注意点1:床下部分がない場合は不可
一般的なマンションでは、構造上床下にスペースはありません。
多少スペースがある場合も、配管の経路や共用部分であることが多く、どちらの場合も床下収納の後付けは出来ません。
床下スペースの有無や共用部分かどうかの確認をする場合は、管理組合や管理会社に相談するとよいでしょう。
注意点2:床上げして収納を作る場合は建築基準法の確認が必要
建築基準法によると、「居室の天井高は2.1m以上の高さがなければならない」と定められています。
床のかさ上げをして床下収納を後付けする場合は、専門業者などに相談し、建築基準法の範囲内でリフォームを行いましょう。
注意点3:構造上の問題
戸建住宅と同様に、マンションにも建物を維持するための構造体があります。
一般的なマンションの場合、床下に張られたコンクリートがそれにあたります。
仮に床下にスペースがあったとしても、構造体を傷つける可能性がある場合は床下収納の後付けは出来ません。
注意点4:床上げ工事をする場合は管理規約を確認
注意点2の建築基準法をクリアできた場合でも、リフォームに着手する前に管理規約を確認しておきましょう。
一般的なマンションの場合、専有部分のリフォームを承認しているケースがほとんどですが、共有部分と専有部分の線引きはマンションごとに違いがあるので注意が必要です。
【要注意】湿気対策
戸建、マンションについての注意点を紹介してきましたが、ここでは両方に共通する湿気対策について紹介します。
しっかりと湿気対策を行えば、カビの発生が抑えられ、清潔な床下空間を維持できるので参考にしてください。
床下収納を後付けするときの湿気対策は、以下の4つです。
対策その1:新聞紙や除湿剤を上手く使う
床下収納のカビ対策としておすすめなのが、新聞紙を敷き詰めるという方法です。
吸水効果の高い新聞紙は、ほとんどコストのかからない手軽に扱えるアイテムとして有効でしょう。また、新聞紙を敷き詰めるのが面倒な方や、新聞紙だけでは不安な方は、簡単に除湿ができる上に臭い移りも防いでくれる除湿剤がおすすめです。
除湿剤は、省スペースで新聞紙と同等以上の除湿効果が期待できるので重宝します。
対策その2:収納量は少なめを意識
床下収納があるからといって、詰め込みすぎは厳禁です。
収納量を7〜8割程度に抑えることで、床下収納内に空気の通り道ができやすくなります。
空気の通り道が出来れば、床下収納内の風通しもよくなり、湿気対策にもつながります。
対策その3:適度な換気をこまめに
床下収納の湿気対策には、こまめな換気が欠かせません。
扉の開閉だけでも床下収納にこもった湿気を逃がせるので、よく使用する物を何種類か床下収納に入れてしまうのも1つの方法です。
めったに床下収納を使用しない方は、扉を「扉取り出しタイプ」に変更してみましょう。
扉取り出しタイプであれば、1度の開閉でフタを全て外せるので湿気対策におすすめです。
対策その4:掃除を定期的に行う
床下収納のフタは、気密性がそこまで高くありません。
そのため、少しの隙間からホコリや塵が床下収納に入り込んでしまいます。
湿気対策ももちろん重要ですが、こうしたホコリや塵もカビの発生原因になるので、定期的に掃除をすると良いでしょう。
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床下収納の場所別ポイント
キッチンにある床下収納だからといって、適当に調理器具や食材を放り込んではいませんか?
床下収納は、取り付けられた場所によって収納するものが変わりますし、整理の方法も変わります。
この章では、床下収納が取り付けられている場所ごとに項目を分け、収納すべきものや整理のポイントを紹介します。
床下収納の整理がうまくいっていない方や、何を収納するべきかわかっていない方は、ぜひ参考にしてください。
床下収納が取り付けられている場所として、以下の4ヶ所をピックアップします。
キッチン
床下収納が取り付けられている代表的な場所が、キッチンです。
キッチンにある床下収納には、普段使わない調理器具や頻繁には使わない食器などを収納するのをおすすめします。
床下収納は、フタがあるとはいえホコリや塵が入り込んでしまいますので、食器などは新聞紙や布でくるんで収納すると衛生的です。
洗面所
洗面所に取り付けられた床下収納には、洗剤やサニタリー商品の収納がおすすめです。
洗剤の中には強力な成分が入っているものや、取り扱いに注意が必要なものがあるので、床下収納に入れる前に一度確認するようにしましょう。
また、スプレー缶のようにガス成分が内蔵されたものの収納も注意が必要です。
リビング
人の出入りが多いリビングの床下収納には、来客時にしまっておきたいものや、防災グッズなどの収納がおすすめです。
防災グッズについては、緊急避難時に持ち出せるように玄関に置いておきたいものですが、備蓄用の水や乾パンなどは床下収納が便利です。
床下収納に防災関連のアイテムを収納する場合は、必ず床下収納に耐震補強がされているかどうかを確認し、いざという時にも安心して使用できるようにしておきましょう。
和室・畳の下
和室に取り付けられた畳の下にある床下収納へは、クリスマスツリーやお雛様などの季節のアイテムを収納するのがおすすめです。
本記事でも紹介しているとおり、畳の下にある床下収納は開閉する扉が非常に大きいので、頻繁に出し入れする物の収納には向きません。
また、畳の下にある床下収納は、地震などでタンスなどが倒れこんできた場合に、開けられなくなる可能性があります。
防災グッズや備蓄品を収納する場合は、家具の配置についても確認しておくと安心です。
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まとめ
床下収納の後付け工事について、紹介してきましたがいかがでしたか?
キッチンにあるものと思いがちな床下収納ですが、様々な種類があり、洗面所や和室にも後付けが可能です。
また、戸建のイメージが強い床下収納ですが、条件が揃えばマンションにも後付けが可能です。
床下収納を上手に活用すれば、住空間はより快適なものになります。
収納スペースが足りない方や、床下の空間を無駄にしたくない方は、一度床下収納の後付けリフォームを検討してみてください。