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お風呂をバリアフリー化するポイントは?リフォームの費用や補助金、おすすめのユニットバスも紹介

バリアフリーリフォームは、老後も自宅で過ごすために必要な工事です。そのため、検討されている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、お風呂のバリアフリーリフォームについて、具体的な工事箇所や工事費用の相場、事例、利用できる補助金制度などについて解説します。
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目次
お風呂をバリアフリー化するべき理由って?
いつか必要とわかりつつも「時期が来るまで…」となかなかリフォームに踏み切れないお風呂のバリアフリー化。
なぜ、65歳以上の方が利用するお風呂でバリアフリー化が必要なのでしょうか?
高齢者の方が安全に入浴するため
お風呂での「転倒」「溺水」は高齢者の三大死亡理由の中でも特に深刻な問題です。

※上記のグラフは出典先のデータをもとにリフォスム編集部が作成したグラフです
厚生労働省が発表した統計では、65歳以上の不慮の事故を死因別に比較すると「転倒」、「窒息(食べ物の誤嚥など)」、「溺水」の順に起きています。また、令和3年の厚生労働省の統計によると、高齢者の溺水のうち、浴槽内での溺水による死亡者数は4,750人で、交通事故死亡者数の2,150人のおよそ2倍です。
「お風呂の洗い場で滑って転倒した」
「浴槽でのぼせてしまい、立とうとしたらそのまま足を滑らせて溺水した」
このような不慮の事故は日々発生してしまっています。
高齢者が安全に入浴できる環境を整え、転倒や溺水リスクをさげることが大切です。
介護側も介護しやすくなる
そして、もう1つバリアフリーリフォームをすべき理由が、介護する側と介護される側の両方にとって快適であるからです。
バリアフリー化をすることによって、入浴介助に必要な設備やスペースが整うので、介護の負担が軽減され、介護の質が上がります。
また、お風呂に手すりがあったり、またぎやすい浴槽になることで、高齢者ができるだけ自力でお風呂に入ることができます。
高齢者自身が安心して入浴でき、介護側もサポートしやすい環境を整えることが、健康で快適な生活を送るために必要です。
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【お悩み別】お風呂をバリアフリー化すべきポイントと費用
老後も安心してお風呂に入るには、バリアフリーリフォームを行い、根本的にお悩みを解決しましょう。
お風呂のバリアフリーリフォームには、お悩みに応じて以下のような対策があります。
スクロールできます
悩み・心配 | 対策 | 費用 |
---|---|---|
浴槽がまたげない | 手すりの設置 | 1万円~4万円 |
浴槽を交換 | 15万円~100万円 | |
ヒートショックが心配 | 浴室暖房機を設置する | 10万円~20万円 |
二重窓を取り付ける | 4万円~30万円 | |
床で滑りそう | 滑りにくい床材・クッション性のある床材にする | 3万円~15万円 |
出入口につまずきそう | すのこで出入口の段差をなくす | 5万円~25万円 |
しゃがむ・立ち上がる動作がきつい | 手すりの設置 | 1万円~4万円 |
昇降設備(バスリフト)を取り付ける | 20万円~30万円 | |
緊急時に対処できなくて心配 | 緊急呼び出しボタンを設置する | 5千円~数万円 |
扉を引き戸にする | 10万円~20万円 |
順に解説していきます。
浴槽がまたげない

浴槽をまたぐ際の不安やストレスは、以下のリフォームで対策することができます。
対策
手すりの設置
浴槽を交換
手すりの設置により、足だけで体重を支える必要がなくなり、浴槽をまたぐ負担を大きく軽減することができます。
設置する費用は手すりの種類にもよりますが、ひとつあたり1万円~4万円程度が相場です。
高さの低い浴槽に交換することも、転倒する恐れや溺れてしまうリスクを大きく軽減できる手段です。
介護向けに作られた浴槽には、浴槽の3分の1が床に埋め込むことによって、またぐ負担を最小限に抑えられる「半埋め込み式」なども存在します。
お使いの浴室が在来工法の場合は、浴槽だけを交換することができます。一方でユニットバスの場合は浴槽だけを交換することはできず、浴室内すべての交換が必要となるので注意しましょう。
在来工法で浴槽だけを交換する場合は15万円~35万円程度、ユニットバスから新しいユニットバスに変更する際には、60万円~100万円が費用相場となっています。
ヒートショックが心配

ヒートショックを防ぐためには、以下の方法が有効です。
対策
乾燥暖房機を設置して浴室・脱衣所を暖める
二重窓を取り付ける
乾燥暖房機で浴室や脱衣所を暖めることによって、お湯に浸かったときとの温度差を小さくし、ヒートショックのリスクを軽減することができます。
入浴前に浴室を暖めておくことで入浴時の危険を軽減するほか、寒い冬も快適に入浴ができることは大きなメリットです。
近年では脱衣所専用のヒーターも販売されており、人感センサーや消し忘れ防止機能等、ひとり暮らしの高齢者の方にも安心して使えるものも販売されています。
浴室乾燥暖房機を設置する費用は、10万円~20万円程度が相場です。
ご自身で脱衣所にヒーターを設置する場合は、ヒーターの購入費用のみで済むため、15,000円程度で抑えられます。
二重窓による断熱で、寒い浴室を温かくすることもヒートショックに対して有効な対策です。
日本建材・住宅設備産業協会によると、冬の暖房時の約58%の熱が開口部である窓から流出していると報告しています。二重窓を取り付けるのが難しい場合、断熱ガラスへの交換も効果的です。
二重窓を取り付ける際の費用は4万円~30万円程度となっています。
床で滑りそう

床で滑って転倒することが心配であれば、以下のリフォームを検討しましょう。
対策
滑りにくい床材・クッション性のある床材にする
滑りやすいタイルなどの床に不安があれば、水にぬれても乾きやすく、滑りにくい加工がされた高機能の床にリフォームすることができます。
バリアフリーを意識して床材を変更する場合、3万円~15万円程度が工事費用の相場となっています。
滑りにくい床材の例
- 東リ:バスナフローレ
- TOTO:グリップフロア
- フクビ化学工業:あんから
また、脱衣所の床材を、転倒の際の衝撃を吸収する、クッションフロアやコルクに変更するバリアフリーリフォームもあります。
こちらの費用相場は、広さや素材にもよりますが3万円~7万円程度となっています。
>>お風呂の床だけリフォームできる? メリットや費用相場を詳しく解説
出入口でつまずきそう

出入口のつまずきによる転倒を防止するためには、以下の対策が有効です。
対策
すのこで出入口の段差をなくす
出入り口の段差を小さくするには、浴室用のすのこを敷き詰めてかさ上げする方法が一般的です。
浴室用のすのこは手軽に段差を小さくできる上に、介護保険の適用が可能です。負担割合に応じて1~3割負担で購入することができます。
ちなみにすのこの脚の高さ調整が可能です。つまずきを抑えられる段差の目安としては2cm以下が理想的とされていますので、覚えておきましょう。
浴室用すのこでリフォームする場合の費用は、浴室のサイズや追加工の有無によっても変わりますが、およそ3万円〜10万円が相場です。
しゃがむ・立ち上がる動作がきつい

しゃがむ・立ち上がる動作に不安やストレスがあれば、以下のリフォームが有効です。
対策
手すりの設置
昇降設備(バスリフト)を取り付ける
洗い場や浴槽に複数の手すりを取り付けることで、立つ・座る動作における負担は大きく改善されます。
注意点としては、お風呂に入るときと、上がるときとでは使いやすい手すりが異なります。使用する本人にとって使い勝手の良い高さや方向で設置しましょう。
浴槽や浴槽の周りに手すりを設置する工事の費用は1万円~4万円程度です。
手すりを使っても本人が浴槽につかることができない場合は、昇降設備(バスリフト)の導入も手段のひとつです。
電動でシート部分が昇降するため、入浴介助の負担も軽減できます。シート自体は取り外しが可能なものが多く、家族の入浴の妨げになることもありません。
販売価格は20~30万円が相場ですが、介護保険における福祉用具のレンタルならば、1か月当たり1,500円程度(自己負担割合1割)で利用することも可能です。
緊急時に対処できなくて心配

本人の万が一の事態への対処が心配であれば、下記の対策が有効です。
対策
緊急呼び出しボタンを設置する
扉を引き戸にする
緊急呼び出しボタンを設置することで、入浴時に万が一のことが起きた際にすぐ駆け付けることができます。
近年は配線工事が不要なワイヤレスタイプも数多く販売されており、価格も5,000円~数万円まで様々です。使用する本人にとって操作がしやすいものを選びましょう。
扉を引き戸にすれば、開き戸よりも出入りや開閉がしやすくなるほか、介助者と一緒に浴室に入りやすくなります。
お風呂の扉を引き戸にする工事費用は10万円~20万円程度となります。ただし、引き戸を引き込むスペースが必要になる点に注意しましょう。
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お風呂のバリアフリーリフォームで使える補助金制度

ここからはお風呂のバリアフリーリフォームに利用できる補助金について解説します。
概要は次の表の通りです。
補助金の種類 | 制度詳細 | 補助金額 |
---|---|---|
介護保険 | バリアフリー化工事を行う際に受けられる制度 | 最大18万円 |
自治体 | 自治体により異なる 例)環境配慮型住宅リノベーション推進事業(世田谷区) |
10万円~100万円 ※自治体により異なる |
国 | こどもみらい住宅支援事業 | 最大30万円 ※要件により上限額引き上げあり |
介護保険の補助金制度
要介護もしくは要支援の認定を受けている場合、お風呂のバリアフリー工事の費用の一部が介護保険制度から支給されます。
対象工事費用の上限は20万円で、自己負担の1割を除いた最大18万円の補助金が受けられます。
ただし、希望する全てのバリアフリー工事が対象になるわけではなく、ケアマネジャーなどが必要と判断した工事のみが対象です。
工事の完了後は、工事の領収書、工事費内訳書、完成後の状態を確認できる書類が必要となるため、大切に保管しておきましょう。
なお、対象となるお風呂のバリアフリー工事は次の通りです。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 滑りの防止や移動の円滑化のための床材変更
- ドアの付け替え
- トイレの取り替え
- その他上記に付帯して必要となる住宅改修(壁の補強、スロープ設置にともなう転落防止柵の設置など)
引用:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
自治体の補助金制度
各自治体で用意されている補助金制度は、それぞれの自治体によって、条件や補助金額が異なります。
そのため、お風呂のバリアフリー工事で受給できる補助金があるかどうかは、住んでいる地域のHPや担当窓口でチェックしましょう。
各地方自治体のリフォーム支援制度は、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)」で検索できます。
補助金制度は申込者の数や予算によって、早くに締め切ってしまう場合もあるため、サイトで調べた制度が実際に利用できるかは、各地方公共団体に問い合わせて確認しましょう。
参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)
国の補助金制度
国の補助金制度で、お風呂のバリアフリーリフォームに利用できる可能性があるのは、「こどもみらい住宅支援事業」です。
補助金名 | 必須リフォーム工事 | 補助対象工事と補助金額 |
---|---|---|
こどもみらい住宅支援事業 | (1)開口部の断熱改修(窓など) (2)外壁、屋根・天井又は床の断熱改修 (3)エコ住宅設備の設置 |
|
出典:「こどもみらい住宅支援事業」(国土交通省)
こどもみらい住宅支援事業の補助金をお風呂のバリアフリーリフォームに活用するためには、上記の表の必須リフォーム工事3つのうち、いずれかを行う必要があります。
こどもみらい住宅支援事業は、2022年11月28日時点で予算上限に到達したため、現在は交付申請の受付を終了しております。
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バリアフリー化におすすめのユニットバス
本章では高齢者から子どもまで、誰でも安心して使えるバリアフリー仕様のユニットバスを紹介します。
ユニットバスへのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
TOTO 「サザナ」 Fタイプ









シリーズ名 | TOTO 「サザナ」 Fタイプ |
---|---|
目安価格 | 163万円~192万円 |
特徴 | 介助や浴槽への移動がしやすいベンチ付き 滑りにくく暖かい床 入口の段差がフラット |
TOTO「サザナ」Fタイプは、バリアフリーに配慮したベンチ付きのユニットバスです。
カウンター部分がベンチになっていることによって、座りながら浴槽までの移動ができるほか、今後で介助が必要になった時も対応がしやすくなっています。
さらにTOTOの「ほっカラリ床」は暖かくて滑りづらいほか、柔らかい素材のため、万が一転倒した際も最小限の不安にとどめることができます。
また浴槽の脇には標準装備で手すりが搭載されているほか、浴槽のへりに握りやすいくぼみがあるため、立ち上がりの動作をスムーズにサポートしてくれます。
ハウステック 「LAシリーズ」









シリーズ名 | ハウステック 「LAシリーズ」 |
---|---|
目安価格 | 47万円~68万円 |
特徴 | 滑りにくくお手入れしやすい床 浴槽が低くまたぎやすい コストパフォーマンスが良い |
ハウステック「 LAシリーズ」は、子供から高齢者まで使いやすいユニットバスです。
床材の「スマイルフロア」には繊細な凹凸が施されており、滑りにくいうえに水はけが良く、お手入れがしやすい点も魅力です。
浴槽は出入りのしやすさに配慮し低めに設計されており、浴槽の縁を広くとった「おしりターンスペース」によって、一度腰を下ろしてから楽な体制で入浴が可能です。
またほかのユニットバスメーカーよりも、比較的安価である点もメリットとして挙げられるでしょう。
Panasonic 「ビバス」









シリーズ名 | Panasonic 「ビバス」 |
---|---|
目安価格 | 144万円〜206万円 |
特徴 | またぎ部分が低く設計された安心の浴槽 収納棚のようにスタイリッシュな手すり コストパフォーマンスが良い |
Panasonic「ビバス」は、機能性・デザイン性に優れており、2022年にはグッドデザイン賞を受賞したユニットバスです。
標準装備の「スマイル浴槽」はまたぎ部分が5cm低くなっており、高齢者や子どもでも、安定した姿勢で浴槽に出入りすることができます。
また収納棚のような見た目の「おきラク手すり」はスタイリッシュでありながら、手すりとしてしっかりと体重を支えてくれ、安心の入浴をサポートします。
さらに「保温浴槽Ⅱ」をはじめとする断熱機能も充実。バリアフリーでありながら、快適なバスタイムを追求したい方にもおすすめです。
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お風呂のバリアフリーリフォームは実績のある業者に依頼しよう
本記事ではお風呂のバリアフリーリフォームにおける、具体的な工事箇所や工事費用の相場、利用できる補助金制度について解説していきました。
バリアフリーリフォームの規模にもよりますが、リフォームには多額の費用がかかります。国や自治体の補助金を利用することもできるので、自治体の窓口で相談したり、補助金の検索サイトを利用したりすることもおすすめです。
補助金制度が難しくわかりにくい場合は、業者にも相談してみてはいかがでしょうか。バリアフリー工事の実績が豊富な業者であれば、制度の知識もあり、丁寧に教えてくれるでしょう。
なお、お風呂のバリアフリーリフォームに関して、業者選びでお悩みの方は、ぜひリフォスムもご利用ください。全国の中からあなたの地域に近く、条件の合った業者をご提案いたします。ネットで複数の見積もりも取り寄せられるので、ぜひお気軽にお試しください。