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中古の一戸建てのリノベーションの押さえるべきポイントとデメリット
近年、自宅購入検討者から「中古の一戸建てリノベーション案件」が注目されています。
中古の一戸建てリノベーションとは、中古の一戸建てを入居者のライフスタイルに合わせて間取りやデザイン変更を行うもので、新築よりも購入費用が安く抑えられることもあります。
本記事では中古の一戸建てリノベーションで抑えるべきポイントとデメリット、必要費用などを解説します。
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目次
中古の一戸建てにおけるリノベーションとは
中古の一戸建てリノベーションとは、中古の一戸建て住宅を購入して居住者好みの住まいに改修工事を行う手法です。人気の背景には住宅価格の高騰と「自分らしく暮らしたい」という価値観の広がりがあります。
中古の一戸建てリノベーション案件が安い理由
国土交通省のプレスリリースによると、2010年の住宅平均価格を100とすると、2021年のマンション価格は165.9、戸建て住宅は108.7と価格が上昇しています。
特に、マンションの価格はこの11年で1.7倍と高騰しているのが現状です。
そして相対的に一戸建ての価格が割安となっています。また、一戸建ての中でも中古の一戸建ての価格は新築と比べさらに安価です。
国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」によると、三大都市圏の一戸建ての価格平均は、注文住宅が5,359万円、分譲一戸建て住宅が3,826万円、中古の一戸建て住宅が2,894万円と、中古の一戸建ては新築と比べて1,000万円~2,000万円程度安く購入できることがわかります。
仮にリノベーション費用を1,000万円程度に収めることができれば、自分好みの間取りやデザインによる満足度の高い空間を作ることができることからも、近年、中古の一戸建てリノベーションを検討する人が増えています。
リフォームとリノベーションの違い
「リノベーション」は、ここ10年で使われ始めた言葉ですが、これまで建物の改修工事で一般的に使われていた「リフォーム」とどのような違いがあるのでしょうか。
まず「リフォーム」とは、老朽化したものを新しい状態に戻す工事を指し、マイナスの状態をゼロに戻すことを意味します。
例えば、賃貸マンションを退去する際に壁紙などを張り替えたり、持ち家の台所や風呂の老朽化により交換する工事はリフォームに該当します。
一方で「リノベーション」はマイナスからゼロを超えた新たな機能を付加する意味で使われます。例えば、水廻りや階段の変更を伴う大規模な間取り変更や、大家族で使っていた小部屋の多い家の壁を撤去し広い空間を作り出すことで、スタジオ兼住居のような新たな生活スタイルを生み出すような工事が該当します。
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中古の一戸建てリノベーションのメリット・特徴
中古の一戸建てリノベーションにおける特徴や概要について解説しました。
以下では中古の一戸建てリノベーションのメリットと特徴である、
- ライフスタイルに合わせて間取りを大胆に変更できる
- 新築一戸建てよりも価格が大幅に安い
- 再建築不可の物件でも活用できる
について、具体的に紹介します。
ライフスタイルに合わせて大胆に間取りを変更できる
リノベーションのメリットは、既存の基礎や躯体を最大限利用することでコストを抑えた上で、より高性能な住まいを作り出すことができることです。
地盤沈下や重篤なシロアリ被害などがない場合は、構造部分を補強して耐震性や耐久性を高めることも可能で、増築や改築を行うことで、さらに広々とした空間を作り出すこともできます。
ライフスタイルの変化に伴い、例えば子供が巣立った家を老後に備えバリアフリー工事を行った上でリビングと寝室を広い空間で繋いだり、逆に子供の誕生に備えて部屋の数を自由に増やしたりすることも可能になります。
新築一戸建てよりも価格が大幅に安い
新築一戸建ては「買った途端に価値が8割になる」と言われます。
新築価格の内訳には、戸建て本体の価格に加えて、デベロッパーの利益が戸建て本体価格の10~15%計上されており、その他建築期間中の金利や広告宣伝費が5~10%必要になるためです。
それに比較し、日本の中古一戸建ては築20~30年で建物価値はゼロと見なされることが多く、築25年を超える中古一戸建ては土地だけの値段で買える場合があります。
さらに近年木材価格の上昇により新築一戸建て本体価格自体も値上がりしており、柱や梁などの既存の躯体が利用できる中古一戸建てとの価格差が大きく開いています。
再建築不可の物件でも活用できるため、選択の幅が広がる
現在の建築基準法では、敷地が4メートル以上の道路に2メートル以上接していないと原則として新築することができません。
しかし、過去の法令では新築可能であったため現在も建物として存在する中古一戸建てがあります。このような一戸建ては一旦解体してしまうと、現法令上新築することができなくなるため「再建築不可」案件と呼ばれています。
中古一戸建て売買市場では、この再建築不可案件が安価に販売されており、数十万円から高くても数百万円で叩き売りされていることもあります。
ただし、この再建築不可案件であってもリノベーション工事を実施することができ、建物も新築同然に蘇らせることができます。都心の真ん中でも稀にこのような中古一戸建てが出ているので、新築や建売よりも選択の幅が広がります。
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一戸建てリノベーションはここに注意!デメリットについても解説
次に、一戸建てリノベーションの注意点・デメリットである、
- 事例が少なく比較が難しい
- リノベーションコストが見えづらい
- 旧耐震建物は耐震工事が必要
について説明します。
事例が少なく比較が難しい
一般的な不動産ポータルサイトに掲載されている一戸建ては「新築」「中古」と分けられていますが、リノベーションを前提とした中古一戸建ての情報が公開されていることは非常に稀です。
リノベーションを前提とするのであれば、築年相応の中古一戸建てを探した上でリノベーションコストを計算する必要がありますが、建築の知識がない購入者が判断するのは相当難しいと言えます。
そうなると、リノベーション専門の不動産会社が扱っている中古一戸建てが主な検討対象となりますが、どうしても件数に限りがあるため価格の妥当性の比較検討がしにくいのが実情です。
リノベーションコストが見えづらい
中古一戸建ての注意点は、構造の見えない部分の状況が確認できないことです。
仮に自ら中古一戸建てを購入し、工務店にリノベーション工事の見積もりをとった時点では安価だったとしても、いざ工事で壁を剥がして補強工事などが必要であることがわかると、追加費用が発生する恐れがあります。
一方、安心を求めて大手リノベーション専門会社や大手不動産会社が紹介する案件でリノベーション工事を依頼すると、[text style=”9″]新築同等の工事費を請求されることもあるため注意が必要です。[/text
中古一戸建てを探し始める前から、信頼できる小~中規模の工務店や設計事務所を見つけ、一緒に物件内覧に行くなど、早めに信頼関係を築くことがポイントになります。
旧耐震建物は耐震工事が必要
中古一戸建てを購入するリスクのひとつとして耐震性の問題があります。
1981年6月以降に建築確認を受けた物件が新耐震基準で、それ以前の物件は旧耐震基準の建物とされます。旧耐震基準の建物は、当然耐震性に課題があるばかりか、住宅ローン調達にも悪影響があります。
したがって、旧耐震基準の建物は耐震補強工事を行うことを前提にリノベーションコストを見積もることが必要です。
なお、日本木造住宅耐震補強事業者共同組合の「耐震診断基本データ」によると、一般的な木造在来工法2階建ての旧耐震建物の耐震補強工事の平均施工金額は189万円とされています。
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リノベーションの費用
中古一戸建てリノベーションの費用は、間取り変更の状況や耐震補強の有無により大きく異なります。
リノベーションには二種類あり、既存の躯体以外は全て解体して全く違う価値を持たせるのが「フルリノベーション」、一部内装を残し効率よく工事を行うのが「部分リノベーション」です。それぞれの意味や費用に関して説明します。
フルリノベーション
フルリノベーションとは建物の基礎と柱梁などの躯体のみ残し、外壁や屋根まで撤去するリノベーションのことです。
外壁を撤去することで躯体の痛みが明らかになり、外壁の構造板補強を施すことで耐久力が大幅に向上します。
また天井や壁面に断熱処理を行ったり、自由な間取りやデザインを施したりすることも可能のため、最も自由度が高いリノベーション工事です。
ただし大規模な工事となるため、一般的な延床面積30坪木造2階建ての建物で、1,350万円~2,200万円と新築同程度の費用がかかります。そのため、中古一戸建てを安く購入できた際に選択肢に入るリノベーション手法と言えます。
部分リノベーション
部分リノベーションとは、建物の基礎躯体の他、屋根や一部内装の利用できるものを活用して部分的にリノベーションを施す方法です。
フルリノベーションと比較して費用も安価のため有効な手段ではありますが、既存建物の管理状態次第では、ただのリフォーム程度になり、リノベーションの魅力に欠けた建物になってしまうことに注意が必要です。
リフォーム箇所 | 工事内容 | 費用相場 |
---|---|---|
キッチン | 設備交換 | 10~30万円 |
トイレ | 設備交換 | 10~20万円 |
浴室 | 設備交換(ユニット→ユニット) | 50~150万円 |
リビング・居間 | 和室→洋室変更 | 75万円前後 |
壁紙や床材の張り替え | 30万円前後 | |
2DKを1LDKへと変更 | 100万円前後 |
なお、費用としてはリノベーションを行う箇所、導入する商品や既存設備、工事内容などによって大きく異なります。
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リノベーションは効率的に進めるのがポイント
中古の一戸建てリノベーションでは新築一戸建てよりも価格が大幅に抑えられること、
また物件選びに幅が出ることがメリットとして挙げられますが、耐震工事が必要になることやリノベーションコストが見えづらくなることにも注意が必要です。
そのため、中古一戸建てリノベーションを成功させるためには優良なリノベーション業者の探索が必須となります。
そこで水回りリフォームのポータルサイト「リフォスム」を活用するのがおすすめです。リフォスムでは、物件のエリア規模などに応じた費用のシミュレーションや、優良業者の紹介依頼などが無料で可能です。是非この機会にリフォスムを利用してはいかがでしょうか?