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キッチンの横幅や通路幅の目安は?使い勝手を比較!

新しいキッチンのプランニングをするにあたって、まず迷うのがキッチン本体の横幅や通路幅を何cmにするかではないでしょうか。狭すぎても広すぎても使いにくいため、リフォームの際には、ご自身にとって快適な幅となるように設計する必要があります。
本記事では、はじめてキッチンの購入やリフォームをする方向けに、キッチン本体の横幅や通路幅の目安について解説します。
この記事のポイント
255cm~315cmが目安
キッチン本体の横幅はキッチンの通路幅は70cm~120cmの間で決める人が多い
1人で使うなら80cm~90cm
最適なキッチンの通路幅は、【関連記事】
>>はじめてのキッチンリフォームガイド
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目次
キッチン本体の横幅の目安は?
使いやすいキッチン本体の横幅は255cm~315cmが目安です。
幅255cmよりも小さいと、作業スペースが不足して不便に感じられる可能性があります。一方、大きすぎるキッチンも一概に良いとは言えません。横移動が増える分、調理効率が落ちてしまうためです。
参考として、サンウェーブ工業(現LIXIL)がキッチンの横幅ごとの調理効率について調べてくれた実験(※)をご紹介します。
実験内容
横幅380cm、315cm、255cm、210cmのキッチンを用意。実験参加者にはそれぞれのキッチンで同じメニューを調理してもらい、その様子を観察した。作ってもらったのは、魚の照り焼きや煮物を含む7品目×4人前。
ざっくりと実験結果をお伝えすると、以下の通りです。

上記の実験の結果報告をもとに、キッチンの幅ごとの使い勝手について解説します。
参考:システムキッチンの調理スペースについての一考察 – 調理補助アイテムの提案 – 村上孝子 – サンウェーブ工業株式会社 開発企画部 生活研究グループ
幅380cm:広さを持て余す傾向あり

カウンターが広すぎて調理器具が適当に置かれる傾向があり、その結果、調理器具がカウンターに散在。それを取るために足を左右に踏み出す動作が多くみられた。
(実験結果より抜粋)
幅380cmというと、かなり大きなキッチンです。スペースを広々と使って快適に料理ができそうなものですが、実際にはスペースを雑に使うようになってしまったり、横移動が増えるといった傾向が見られました。一概に幅が広ければ広いほど良いとも言えないようです。
実験参加者の方からは以下のような感想が挙がっています。
- シンクとコンロが離れているため、お湯の入った鍋を移動するのが怖かった
- 洗い物をしながら加熱中の鍋の様子を見られないことが不満だった
2品以上を同時並行で調理する際には、コンロとシンク、作業スペースがある程度コンパクトにまとまっている方が使いやすいと言えそうです。
幅315cm:過不足なく丁度良い

調理器具はカウンター上に自然におかれ、それらは手の届く範囲だったためか、調理器具を取るための移動はほとんど見られなかった。
(実験結果より抜粋)
食材や調理器具をストレスなく広げることができ、かつスペースを持て余してしまったり、シンクとコンロの距離が開きすぎることもない丁度良い幅だったようです。
実験参加者の方からは以下のような感想が挙がっています。
- 調理スペースが広すぎず狭すぎず動きやすかった
今回の実験で検証した4つの幅の中では、315cmがもっとも好意的な感想でした。
幅255cm:やや作業スペースが不足

カウンターが狭くなり、準備段階で食材が積み上げられたり、下ごしらえの食材を置く位置を頻繁に変えたりと、調理作業のしにくさや無駄な動作が見られた
(実験結果より抜粋)
今回の実験では使う食材をすべて出した状態で調理を開始していますので、食材が積み上げられる結果になっています。実際には、315cm以上の幅のキッチンよりも、冷蔵庫との往復回数が増えることになるでしょう。
実験参加者の方からは以下のような感想が挙がっています。
- 食材を広げられなかったので重ねておいた。このため、下になった食材を使い忘れそうになった
- なるべく小さくボウルを使うようにした
- ごちゃごちゃしていて面倒になり、段取りを変えたり、一品減らしたりしたくなった
- お盆がおけなかったので、出来上がったものを手で少しずつ食卓へ運んだ
調理効率が落ちるだけでなく、料理へのモチベーションも萎んでしまうようです。
幅210cm:料理には工夫が必要

シンク横のスペースがなくなったために、水切りかごが小さくなり、これによって調理器具を使いまわしたり、小さなボウルを使ったりして極力洗い物を減らす傾向が見られた
(実験結果より抜粋)
小さなボウルを使う・調理器具を使いまわすなど、コンパクトに調理する意識が必要になるようです。「茹でこぼす」「肉や魚をさばく」「生地をこねる」といった調理は困難になるでしょう。
実験参加者の方からは以下のような感想が挙がっています。
- 水切りかごをシンクにかけたためにシンクが狭くなったので、洗い物を減らそうと思って使う道具を減らした。たとえば、魚が入っていた発泡トレイをバット代わりとして下味をつけるなど。
- また、都度だしをとるのではなく、まとめて大量にとって小分けしたいと思った。常に考えなければならないので疲れた。
今回の実験参加者のように、料理にある程度慣れており省スペースでも工夫して調理できる技量がないと、使いこなすのは難しそうです。
自分の使い方に合わせた幅を選ぶことが大切
以上の結果から言うと、もっとも使いやすいキッチンの幅は315cmだと言えます。ただし、以下の点も考慮に入れておくようにしましょう。
- この実験では7品目×4人前というかなりの量を調理している
- キッチンだけで調理をしており、他に背面収納などは使っていない
よって、夫婦2人分の夕食2~3品を作る分には270cmや255cmの幅でも十分だと感じる可能性があります。また、背面カウンターやキャスター付きワゴンなどを、食材の仮置き場として活用すれば、さらに省スペースで済むかもしれません。
普段何人分程度の料理をするのか、キッチン本体以外の収納力はどれくらいあるのかも考慮して、自分にあったキッチンの幅を選ぶことが大切です。
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キッチン本体の横幅の決め方
多くのメーカーでは、標準でキッチンの横幅を210cm~300cmの間から選ぶことができます。
とはいえ、どのくらいの横幅が適しているかわからない方も多いでしょう。
そこで、本項ではキッチンの横幅の決め方を3つ提案します。
置けるスペースを測って決める

もっともポピュラーは決め方は、置けるスペースを測って決めることです。
とりわけ都市部のマンションなど、スペースが限られる場合には置ける範囲で最大のものを選ぶと良いでしょう。
その際、冷蔵庫や食器棚等を配置するスペースも加味することを忘れないようにしてください。
255cmを基準にして決める
スペースにゆとりがある場合には、まずは横幅255cmを基準にして、もっと広くしたいかと考えるのがおすすめです。
2人~4人世帯であれば横幅255cmは多くの人にとって十分だと感じられるかと思います。
凝った料理をすることが多い方や、ホームパーティーをされる方は270cmや285cmのキッチンも検討していくと良いでしょう。
ショールームで体験して決める

上記の方法でおおまかな横幅のあたりを付けた後は、可能ならショールーム等で実際の使い勝手を体験してみることをおすすめします。
「思ったよりも作業スペースが少ない」「収納が足りなくなりそう」など、実際の体験を通して気が付くこともあるはずです。
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キッチンの通路幅の目安は?

基本的にひとりで料理をする家庭の場合、キッチンの通路の幅は80cm~90cmが最適です。
1人でキッチンを使用するなら75cmでも問題ないですが、収納を引き出したときにすこし窮屈さ・使いづらさを感じるかもしれません。
100cm超えの通路幅は、「1歩踏み出す移動が必要」と心得ておきましょう。2人ですれ違うこと・大きな収納家具を置くことが前提なら、100cm~110cmでも丁度良いでしょう。
キッチンの通路幅の目安をまとめると以下の通りです。
キッチンの通路幅の目安
- コンパクトな通路幅が良いなら75cm
- 1人でキッチンを使用するなら80cm
- キッチンで人とすれ違える幅なら90cm
- ゆったりキッチンで作業したいなら100cm
- 家具が大きめ・2人以上で料理をするなら120cm以上
特に対面キッチンでは通路幅によって使いやすさが大きく変わるので、家族構成や設備配置を踏まえてよく検討しましょう。
コンパクトな通路幅が良いなら75cm

住宅設計の目安として、「キッチンで1人で作業できるギリギリの通路幅が75cm」と言われています。
70cmからも可能ですが、かなり狭めの通路幅であるので、キッチンの背面が収納なしの壁のみレイアウトである場合、一人暮らし用のコンパクトキッチンである場合などに検討してみると良いでしょう。
ただ、冷蔵庫は75cmとシンクや作業台・食器棚より奥行きがあるため、扉が開閉しづらくならないか気を付けましょう。
1人でキッチンを使用するなら80cm~

基本的に1人で使用する場合には80cmの通路幅であれば普通に作業ができます。振り返るだけで背面収納に手が届くため、無駄な1歩を省いて効率的に作業を進めることができるでしょう。
キッチンで人とすれ違える幅なら90cm
キッチンでは90cmであれば人とすれ違うに十分な幅と言えます。

キッチンで1人で料理をしている間にも、家族が冷蔵庫に食べ物を取りに来たり、お湯を使いにきたりと、何かと人とすれ違う機会が多い家族には90cmがおすすめです。
ゆったりキッチンで作業したいなら100cm
キッチンの通路幅を100cmにすると空間に余裕が生まれて、ゆったりと作業できます。
設備や家電がギュッと詰まった空間ではなく、キッチンという部屋という雰囲気になります。人とすれ違うこともできる上に、冷蔵庫をキッチンの奥においても、大きなオーブンを置いても、狭いと感じることなく料理ができます。
ただ、キッチンの通路幅が100cm以上から「1歩踏み出す」という移動が必要になります。
家具が大きめ・2人以上で料理をするなら120cm以上

同時に2人以上でキッチンを使う場合や、対面キッチンで背面に大きなカップボードや観音開きの食器棚を置く場合には、110cm以上の通路幅を目安にしましょう。
大きめの収納家具であれば、扉の大きさ・引き出しの長さを考慮すると110cmは必要だったという声も多くあります。
複数人でキッチンを使用することもあるホームパーティーや料理教室といった使い方を想定されている場合は120cm以上の通路幅も検討しましょう。
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キッチンの通路幅が“広い・狭い”の体験レビュー!
キッチンのリフォームや新築を行った方の中には、思ってたよりも「キッチンが広すぎる」「キッチンが狭い」と感じたという声も少なくありません。
体験レビュー
- 食器棚(カップボード)を置いたら、キッチンの通路が狭くなった
- 家族でキッチンをつかうときに、すれ違いざまにぶつかる
- 通路幅が広すぎて作業動線が悪化した
いくつかの体験談から、どんな時にキッチンの幅が「広い」「狭い」と感じるのかご紹介します。
食器棚(カップボード)を置いたら、キッチンの通路が狭くなった

この食器棚(カップボード)の奥行きも考えて通路幅を決める必要があります。
特に低い位置の収納が上記写真のような引き出しタイプなら狭いと感じにくいですが、パカッと開く観音開きタイプであれば通路を狭めにすると使いずらいもの。
また、「冷蔵庫をキッチンの一番奥に置いたら、そこだけ通路幅が狭くなった」なんて体験談もよく聞かれます。
家族でキッチンをつかうときに、すれ違いざまにぶつかる

普段ひとりで使う分には問題ないものですが、「料理中、子どもたちがよく冷蔵庫にものを取りに来る」「旦那と料理をする」なんて方は、すれ違いにくかったり、冷蔵庫付近でぶつかりやすくなるものです。
通路幅が広すぎて作業動線が悪化した

反対に、通路幅が広すぎると、背面収納や冷蔵庫に手が届きにくくなり、無駄な動きが増えて導線が悪化します。
キッチンは日常的に使う場所のため、使い勝手が悪いと日々のストレスとなってしまうこともあるでしょう。
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まとめ:キッチン幅の工事は相見積もりが重要
以上、キッチン本体の横幅や通路幅の目安について解説しました。
要点の振り返り
- キッチン本体の横幅は255cm~315cmが目安
- キッチンの通路幅は70cm~120cmの間で決める人が多い
- 最適なキッチンの通路幅は、1人で使うなら80cm~90cm
リフォーム工事は会社によって価格や提案もバラバラなため、相見積もりをとって比較することが非常に重要です。
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当記事がもしお役に立ったのなら、この機会にご利用いただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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