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フルリフォームの基礎知識|メリット・デメリットや費用相場など

古くなってきた自宅の住環境を快適なものにしたいなら、建て替えではなくフルリフォームという方法があります。フルリフォームで自宅の大部分を変更し、新しくすることで、住環境は格段によくなります。
行う際には、かかる費用や流れ、注意点などを知っておくことが大切です。細かいポイントを把握して、フルリフォームを上手に行いましょう。
POINT
- フルリフォームはスケルトンリフォームともいい、骨組み以外の全て取り換えるリフォームのことで、費用相場は、戸建ての内装、外装はともに500万円、屋根は200万円、マンションは300万円程
- フルリフォームは建て替えるよりも低予算で工期が短いことがメリットだが、間取りに成約が出たりリフォームローンを組むと金利が高めになったりすることがデメリット
- 団地やマンションのフルリフォームを行う場合は、事前に管理組合に申請が必要で、場合によっては大がかりな変更はできないこともある
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目次
フルリフォームとは?
まずは、そもそもフルリフォームとはどのようなものなのか、基本的な部分から知っておく必要があります。リフォームの種類は複数に区分でき、フルリフォームはそのうちのひとつです。通常のリフォームとはどのような違いがあるのかを知り、基礎知識を身につけていきましょう。
スケルトンリフォームとも呼ばれている
フルリフォームは文字通り自宅をフルで、つまり全てリフォームをします。この際に骨組みだけを残して中身を一切取り替えてしまうことから、スケルトンリフォームと呼ばれることもあります。
ただし、スケルトンリフォームと呼ばれるのは、あくまで骨組みを残して家全体を作り直す場合であり、フルリフォームが全てこれに該当するとは限りません。
内装のみ、外装のみをやり替えるという方法もあり、必ずしも骨組みのみの状態にして一から作り直すわけではないことは覚えておきましょう。
リフォームの中でもっとも大掛かりな工事
リフォームは一般的にイメージされる必要箇所のみの工事から、既存の設備を交換、改良して付加価値をつけるリノベーションなどがあります。
これらの工事と比較するとフルリフォームは規模が大きいため、時間と費用がもっともかかります。大掛かりな工事になるため気軽にできるものではなく、行うなら綿密な計画を立て、慎重に実施しなければなりません。
フルリフォームとリノベーションの違い
フルリフォームと似た言葉に「リノベーション」という言葉があります。どちらも規模が大きいリフォームのことを指しますが、少し工事の内容には差があります。
フルリフォームというのは、汚れたものや劣化したものを元に戻すなどの、原状回復のための修繕を指します。それに対して、リノベーションというのは、住人に合わせて機能などを改修し、新しい価値を生み出すことを指します。
このように、フルリフォームとリノベーションは少し違ったニュアンスで使われています。そして、リノベーションの1つの方法として、住居の中にあるものをすべて撤去して、骨組みだけを残して取り替える「スケルトンリフォーム」という工法もあります。
フルリフォームには5つ種類がある
フルリフォームの種類 | 内容 |
---|---|
内外部全面フルスケルトンリフォーム | 外壁やその下地、建物内部すべて解体・撤去、躯体のみを残して行うリフォーム |
内部全面フルスケルトンリフォーム | 建物の内部のみ解体、外壁や躯体を残して行うリフォーム |
内部全面フルスケルトンリフォーム+サッシ交換 | 建物内部のみの解体で、外壁や躯体を残してリフォームを行い、外壁に接するサッシを新しく交換するリフォーム |
外部スケルトンリフォーム | ・外壁を解体撤去、内部は一部解体して行うリフォーム ・主に外壁の補強工事が中心となる場合のリフォーム |
表装フルリフォーム | 壁や床、天井の表面を仕上げるリフォーム |
フルリフォームには5つの種類があり、内部とともに外壁やその下地も全て解体して行う「内外部全面フルスケルトンリフォーム」や、建物の内部のみ解体して外壁や躯体を残して行う「内部全面フルスケルトンリフォーム」などがあります。
そして、この内部全面フルリフォームを行うときに、一緒に外壁に接するサッシを新しく交換するリフォームもあります。また、外壁の補強工事を中心に行う「外部外壁全面フルスケルトンリフォーム」は、外壁を解体して補強を行い、一緒に内部を一部改修するリフォームです。ほかにも壁や床、天井の仕上げ工事のみを行う表装工事のみのリフォームもあります。
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【パターン別】フルリフォームの費用相場
ひとくちにフルリフォームといっても、内装を工事するのか、外装を工事するのか、あるいは両方を行うかによって費用の相場が違ってきます。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
内装(戸建て) | 500万円 |
外装(戸建て) | 500万円 |
屋根(戸建て) | 200万円 |
マンション | 300万円 |
また、戸建てかマンションかによっても費用相場は異なり、外装や屋根の工事も行える戸建てのほうが、費用は高くなりやすいです。
内装フルリフォーム
戸建て住宅で内装を完全に入れ替える場合は、500万円程度が費用相場です。内装の変更箇所は多岐にわたり、玄関からリビング、水回りなど全てが該当します。
また、マンションよりも費用相場が高いのは、戸建ては2階建てなどで面積が広いことも多いからです。リフォームを行う面積が広くなるほど、費用相場も高くなると考えましょう。
スケルトンリフォーム
内装を一度空にして、骨組みだけにしてから行うリフォームは、スケルトンリフォームと呼ばれます。これも費用相場は500万円程度ですが、工事内容次第ではさらに高額になってしまうことも少なくありません。
スケルトンリフォームでは、骨組みだけの状態にしてから、間取りの大幅な変更を行うことがあります。間取りの変更箇所が多く、大幅な改変になるほど、コストアップする可能性が高いことは理解しておきましょう。
外装フルリフォーム
戸建て住宅では外壁や屋根など、外装のリフォームも行えます。外壁などで500万円程度、屋根で200万円程度が相場であり、外装だけで700万円程度かかることが多いです。また、内装のリフォームも伴う完全フルリフォームの場合はさらに費用がかかり、相場は1,200万円程度と考えましょう。
外装のリフォームは内装とは条件が異なり、作業の進み具合が天気に左右されます。通常数日で終わる作業でも、天気が悪いと作業が中断となるため、1週間かそれ以上かかる場合もあることは頭に入れておきましょう。
マンションでのフルリフォーム
外装の変更ができないマンションのフルリフォームは、内装のみの工事となります。戸建てより面積が狭い分費用は安く、3LDKくらいの部屋なら300万円程度が目安でしょう。
水回りの変更やクロスやフローリングの張り替えなどを一気に行うため、マンションのリフォームといえども工事の規模は大きいです。
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フルリフォームの費用の内訳
フルリフォーム時にかかる費用を把握するには、詳細な内訳を知っておかなければなりません。
種類 | 費用 |
---|---|
設計手数料 | 総工事費の10~20% |
解体と撤去にかかる費用 | 50万~100万円 |
家の補強工事費用 | 20万~320万円 |
内装や設備にかかる費用 | 300万円〜 |
工事にかかる諸費用 | 総工事費の10~15% |
パーセンテージで費用が決まることも多いため、事前に確認する際には概算程度になってしまうことも多いです。しかし、ある程度でも費用計算ができると資金計画が立てやすいため、内訳は細部まで理解しておくことが大切です。
設計手数料:総工事費の10~20%
リフォームを行う際にはどのような工事を行うか、綿密にプランを組みます。この時に発生する費用が設計手数料であり、総工事費の10~20%程度が相場です。手数料は業者と正式に契約を結び、リフォームのためのプラン決めがスタートした時点で発生することも多いです。
つまり、実際に工事をする前に費用が発生していることもあり、契約後すぐにキャンセルすると設計手数料を請求されることもあります。パーセンテージの設定だけではなく、いつ発生するかの取り決めが業者によって異なるため、契約前に確認しておくことが大切です。
また、デザイン性を重視したリフォームの場合は、通常より高い設計手数料を取られることも多いため、どこまで内容にこだわるかによっても費用は変動します。
解体と撤去にかかる費用:50万~100万円
フルリフォームは一度家の中の物を全て取り除いたり、大部分を解体してから工事を始めたりすることが少なくありません。そのため、解体や物の撤去にかかる費用は高く、これだけで50~100万円程度することも多いです。
解体部分の大きさや撤去する内容物、重さや量などによっても異なりますが、規模の大きいフルリフォームでは数十万円程度かかることは頭に入れておきましょう。
家の補強工事費用:20万~320万円
建物の構造がそれほど劣化していないなら不要な場合もありますが、長年使用した家をフルリフォームする場合は、補強工事費がかかることも多いです。これは補強内容による費用変動の幅が広く、20~320万円までが相場となっています。
劣化がそれほどひどくないなら数十万円程度で済みますが、劣化が激しく、ほとんど建て替えに近いほど念入りな補強工事が必要だと、100万円以上かかってしまうことも多いため、注意しなければなりません。
骨組みの状態次第でどこまで工事が必要かは異なりますが、築年数が古いものほど、コストアップしやすことは確かです。
内装や設備にかかる費用:300万円〜
フルリフォームのメインとなる内装のやり替えや設備の交換などによる費用は、300万円以上かかることが普通です。
どのような内容に仕上げるか、搭載する設備のグレードがどれくらいかによって金額は異なりますが、数百万円以上の出費になることは覚悟しておかなければなりません。内装や設備の工事にかかる費用の内訳は、次の通りです。
リフォーム箇所 | 費用 |
---|---|
クロスの張り替え | ・量産品:㎡あたり650円~1,200円 ・一般品:㎡あたり1,000円~1,700円 |
フローリングの張り替え | ・集成材:55,000円~100,000円(6畳) ・無垢材:120,000円~250,000円(6畳) |
アコーディオンカーテン | 5,000円~60,000円 |
パネルドア | 10,000円~40万円 |
壁の設置 | 80,000円~23万円 |
手すりの取り付け | 30,000~90,000円 |
キッチン | 60~300万円 |
お風呂 | 60~150万円 |
トイレ・洗面所 | 20~40万円 |
それぞれの費用相場を把握しておくと、コストがいくらくらいになるのかも計算しやすいです。
工事にかかる諸費用:総工事費の10~15%
リフォームの際にはこまごまとした費用がかかり、これは諸経費としてまとめて計上されます。
- 駐車場代
- 運搬料
- 通信費
- ゴミ処理代
業者の車を停めて置ける駐車場がない場合は、近所の駐車場を借りなければなりません。期間が長引くほど、駐車場代だけでもコストは高いです。
運搬料は荷物や部材の運び出しや運び入れなどであり、人件費と考えてもよいでしょう。通信費は業者内や依頼者との連絡にかかった費用を指します。
これらは総工事費の10~15%程度になることが多く、思わぬ金額を請求されることもあるため、注意しなければなりません。
諸経費を確認する際には、内訳を詳しくチェックし、何にいくら費用がかかっているのかを正しく把握しておく必要があります。
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フルリフォームのメリット / デメリット
自宅の住環境を大幅に変更するなら、フルリフォーム以外に建て替えという方法もあります。
建て替えと比較すると、フルリフォームにはメリットとデメリットの両方があるため、それぞれ把握しておかなければなりません。
工事内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|
フルリフォーム | ・建て替えよりも費用が安い ・建て替えよりも工期が短い ・耐震性や断熱性能を上げられる ・必要な箇所だけ改修できる ・税金の軽減が可能 |
・間取りに制約が出ることがある ・リフォームローンの金利は高め ・劣化が激しいと補修費用が高額になりやすい |
建て替え | ・間取りを自由に設計できる ・リフォームよりも大きい金額のローンを組みやすい |
・費用と工期がかかる ・税金がかかる |
それぞれでメリットやデメリットは異なりますが、金銭的な負担を軽減し、かつ短期間で済ませたいなら、住み替えよりもフルリフォームのほうがおすすめです。
メリット①:建て替えよりも低予算で工事ができる
通常のリフォームやリノベーションに比べると費用が高額になるフルリフォームですが、建て替えと比較すると低予算で済みます。フルリフォームは戸建てで内装から外装まで全て行うと1,200万円程度が相場ですが、建て替えだと数千万円から、場合によっては1億円近くかかってしまうことも少なくありません。
これは既存の住宅を取り壊す際の解体費用や廃材の処分費、建築費などが高くつくからです。フルリフォームでも解体費用や廃材の処分費はかかりますが、建て替えよりも規模は小さいために安く、建築費用はそもそもかかりません。
リフォーム費用は新築の建築費用と比較すると安価であり、半分以下の金額で済むこともあるでしょう。また、建て替え時には不動産取得税や登録免許税などの税金がかかることがありますが、フルリフォームではこれらも不要であり、発生するコストの数が少ない分、費用も安く済むといえます。
メリット②:建て替えるよりも工期が短い
より素早く工事を終えたいなら、フルリフォームのほうが工期が短いためおすすめです。建て替えの場合は工事に4~6カ月程度かかることが多いですが、フルリフォームなら1~3カ月以内に終わることも少なくありません。
これは100㎡以下の床面積とした場合ですが、同じ面積ならフルリフォームのほうが工期が短いことは確かです。短期間で工事が完了するため、仮住まいに長く住む必要がなく、元の家に素早く戻れる点もメリットでしょう。
メリット③:耐震と断熱性能をアップできる
骨組みの補強や大幅な内容変更を行うフルリフォームは、耐震性や断熱性能の向上などを期待できることも多いです。
家の安全性が高まり、かつ機能的にもなるため、住環境はよりよくなるでしょう。古い家ほど耐震性が低く、外気の温度変化の影響を受けやすいことが多いため、フルリフォームによって改善できる範囲は広いです。
メリット④:必要箇所だけ補修できる
家の大部分の工事をする場合もフルリフォームと呼ぶため、このように考えると大規模工事をしながらも、必要箇所に絞って補修できる点もメリットのひとつです。建て替えの場合はまだ使える箇所があっても必然的に全て取り壊すことにあり、完全に0から新しい家を作り上げます。
対してフルリフォームは、既存の設備で使えるものがあるならそのままにしたり、それを改良して付加価値をつけたりすることもあります。家の状態次第ではリフォームが不要な箇所が出てくることも多く、これが増えるほど工期は短くなり、費用負担も減少するでしょう。
メリット⑤:税金を軽減できる
リフォーム時に適用できる減税制度は複数あり、フルリフォームだとこれらの要件に該当する可能性が高いです。
制度 | 内容 | 控除や補助金 |
---|---|---|
耐震リフォーム | 耐震改修をした際に所得税の控除が受けられる | 最大減税額25万円 |
バリアフリーリフォーム | バリアフリー改修をした際に所得税の控除が受けられる | ・(投資型)20万円控除 ・(ローン型)25万円控除 |
省エネリフォーム | 省エネ改修をした際に所得税の控除が受けられる | ・(投資型)35万円控除 ・(ローン型)25万円控除 |
同居対応リフォーム | 同居対応改修をした際に所得税の控除が受けられる | ・(投資型)25万円控除 ・(ローン型)25万円控除 |
長期優良住宅化リフォーム | 耐久性・耐震・省エネ化などのリフォームをした際に補助金が受けられる | 最大100~300万円 |
制度によっては補助金が受けられることもあるため、積極的に活用すると金銭的なメリットは高いでしょう。
デメリット①:間取りに制約が出る場合がある
内装から外装まで幅広く工事をするフルリフォームでも、どのような変更でもできるとは限りません。多少の間取りの変更はできても、大幅な変更は構造上の問題で制限が出てしまうこともあります。建て替えの場合は何もない状態から作り上げることができるため、間取りの制限はなく自由に設定可能です。
フルリフォームでも多少の変更が叶うことはありますが、建物構造の問題に引っかかってしまうと、物理的に制限が出るため、建て替えと比較すると自由度は下がるでしょう。
デメリット②:リフォームローンは金利が高め
リフォーム時にはローンを組んで費用を捻出できますが、契約区分がリフォームローンになると金利が高くなってしまう点がデメリットです。住宅ローンの金利は0.5~2.5%程度ですが、リフォームローンでは2.5~4.5%程度と相場が大きく異なります。
これはリフォームローンは抵当権なしなど、制限が緩いものが多いからであり、利用しやすい分、金利の支払いは多くなってしまいます。
費用が1,000万円以上になるなら住宅ローンで費用を捻出できることもありますが、1,000万円以下だと金利の高いリフォームローンになりやすいと考えましょう。
デメリット③:劣化が激しいと補修費用が高額になりやすい
建て替えよりも費用が安いことはフルリフォームのメリットですが、これは家の劣化状態によって異なります。劣化がひどくないなら工事費は建て替えよりも安く、金銭的なメリットは大きいです。
しかし、あまりにも劣化している家だと、補強工事に莫大な費用がかかり、建て替え時のコストに迫ってしまうことも少なくありません。
実際の金額自体はフルリフォームのほうが高くても、それほどコストが変わらないなら、完全に建物を新しくできる建て替えのほうがメリットは大きいです。基本的には費用は建て替えよりも安いですが、建物状況次第でどれくらいの金額差が出るかは、大きく変動することを把握しておきましょう。
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リフォームにかかる費用を安く抑える方法
少しでも費用を削減したいなら、次の4つのポイントを意識することが大切です。
- 1.部屋の配置や設備、コンセプト等のイメージを明確にする
- 2.相場を知るために相見積もりを取る
- 3.複数の箇所でも同じ業者に依頼する
- 4.リフォームの補助金制度を利用する
細かいポイントを踏まえて、フルリフォームの費用負担を軽減しましょう。
部屋の配置や設備、コンセプト等のイメージを明確にする
フルリフォームの際には事前に自分でプランを立ててみて、できるだけ明確なイメージを持っておくことが大切です。どのような部屋の配置にするのか、どのような設備を導入するのか、全体のコンセプトは何にするのかなど、リフォームの全体像が分かるようにしておきましょう。
ある程度プランを立てておかないと業者に依頼する際に時間がかかりやすく、プランの作成だけでコストが発生することも少なくありません。また、イメージができていないと不要な工事まで依頼してしまう可能性があるため、本当に変更したいのはどのような点なのかは、明確にしておく必要があります。
フルリフォームのイメージを表す図やイラストを描く、あるいは難しいならきちんと言葉で説明できるように、プランニングは念入りに行いましょう。
相場を知るために相見積もりを取る
同じフルリフォームでも業者によって提示する金額が異なることは多いため、必ず複数社から相見積もりをもらいましょう。
相見積もりを取ることで業者ごとの工事の内容や条件が比較できます。どれくらいの金額なのかを比較するとある程度の相場価格が分かり、適正価格で工事をしてくれる業者を見つけやすいです。
より好条件の業者を見つけるには、最低3社以上を目安に相見積もりを取ることがおすすめです。見積もりの内容はきちんと確認し、条件面を比較しながらよりよいリフォーム業者を探しましょう。
複数の箇所でも同じ業者に依頼する
フルリフォームのように工事箇所が複数になる場合は、できるだけ同じ業者にまとめて発注するほうがおすすめです。まとめてリフォームを依頼するとセット価格で料金を割り引いてもらえることも多く、単発で依頼するよりお得になることも少なくありません。
場合によっては業者を選定してそれぞれにもっとも安い内容で作業をしてもらったほうが費用が削減できることもありますが、基本的にはセット価格のほうが確実に安くしやすいでしょう。
リフォームの補助金制度を利用する
耐震や省エネ化、バリアフリー化や同居対応など、住環境の向上を目指すリフォームでは、補助金制度が使えることも少なくありません。減税制度のように税金の控除となるだけではなく、直接的に補助金が支給されて費用負担を抑えられることもあるため、制度は積極的に活用することが大切です。
制度によって申請方法や適用の条件などは異なりますが、基本的には工事開始前に申請をしなければなりません。工事をしてから申請すると、たとえ適用条件を満たしていても補助金が得られないため注意が必要です。
補助金制度は国が実施しているもののほかに、各自治体が実施しているものもあるため、利用できそうなものを選び、コストカットに役立てましょう。
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フルリフォームの依頼~工事までの流れ
フルリフォームは、次の6つの手順で行います。
ステップごとのポイントを知り、スムーズにリフォームを進めていきましょう。
業者を選んで問い合わせる
まずは利用する業者を選び、電話やホームページなどで問い合わせを行います。リフォームを依頼できる業者の種類は豊富であり、それぞれで特徴が異なるため注意が必要です。
業者の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
職人 | ・費用が安い ・腕がよい |
・リフォーム内容によっては複数の職人に依頼しなければならない ・個人的に問い合わせをすることが難しい |
工務店 | ・職人を多数抱えている ・下請けなしのため費用が安い |
広告を出していないところが多いため見つけづらい |
ハウスメーカー | ・信頼度が高い場合が多い ・フルリフォームにもスムーズに対応してくれる |
費用が高くなりやすい |
設備メーカー | ・設備設置の技術が高い | ・メーカーが限定される ・費用が高くつくこともある |
リフォーム専門業者 | ・技術力が高い ・デザイン性を重視しやすい |
・業者による違いが大きい |
インテリアショップ・家具メーカー | ・リフォームの仕上がりに統一感が出る ・店舗ならモデルルームが確認できる |
・技術力が低いこともある ・設備や部材の選択肢が限定的 |
設計事務所 | デザイン性にこだわることができる | 別途施工業者を探さなければならない |
特徴の違いを把握した上で、自分が求める条件に合う業者を選びましょう。
プランと見積もりの提示
業者を選んだ後は現地調査を行ってもらい、その上で詳細なプランを提示してもらったり、見積もりを出してもらったりします。現地調査や見積もりの精査で数カ月程度かかることもあるため、フルリフォームをするなら早めに動き出しておかなければなりません。
業者によって提示するプランや見積もりの金額は異なるため、複数社で比較して条件がよいものを選ぶことが大切です。
リフォーム業者と契約を結ぶ
条件を確認し、納得ができたなら業者と契約を結びます。契約時には書面で確認を取り、必要事項は全て契約書に記載してもらいましょう。契約書に記載していない口頭での約束は守ってもらえないこともあるため、注意しなければなりません。
取り決めはどれだけ些細なことでも必ず書面に残すようにし、少しでも不満や不信感、疑問などが残るようなら、勢いで契約してしまわないようにしましょう。
仮住まいへ引っ越し
数カ月単位の期間がかかるフルリフォームでは、工事中は住み続けることができません。そのため、工事が始まる前に、一時的に仮住まいに引越しておきましょう。仮住まいはウィークリーやマンスリーの賃貸住宅から、ホテルでの宿泊まで選択肢が多いです。
それぞれ滞在中の生活費はもちろん、引越しの費用もかかるため、コスト負担が大きいことは理解しておきましょう。また、数カ月住居を移すにあたっては、次の手続きをしておく必要があります。
- 電気・ガス・水道停止
- 固定電話の移設や利用休止・一時中断
- 郵便物の転送
- インターネット回線の移転
- 衛星放送やケーブルテレビの休止手続き
これらの手続きも行い、仮住まいへの引っ越しを完了させます。
補助金 / 助成金の交付手続き
制度を利用して補助金や助成金を受け取りたい場合は、基本的には工事が始まる前に申請をしなければなりません。工事前に申請しないと制度は活用できないため、忘れずに行うことが大切です。そもそも補助金などの制度を利用しない人は、このステップは飛ばして構いません。
工事開始から完了
事前準備が終了したところで工事が始まり、数カ月程度の期間を経て工事が完了となります。工事が完了した後は自宅を細部まで確認し、傷や汚れ、不備はないかチェックしておきましょう。
また、新しい設備を導入したなら、使い方の説明を受けておくことも大切です。工事完了後スムーズに住み始めるためにも、仮住まいからの引越しの用意は早めに済ませておく必要があります。
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リフォームを短期間で終わらせる2つの方法
数カ月といった長期間のフルリフォームは、方法次第で工期を短縮できます。
- 1.荷物や家具がなく片付けていること
- 2.複数の工事をリフォーム業者1社にまとめて依頼する
これら2つの方法を意識して、フルリフォームもできるだけ短期間で終えましょう。
【一番早く終わる】荷物や家具がなく片付けていること
工事を素早く終えたいなら、できるだけ荷物や家具を片付けておくことが大切です。物が多いとその運び出しから始まり、これに手間を取られてしまうことも少なくありません。
ほとんど何もない状態ならすぐに工事を開始できるため、作業工程がスムーズに進みます。散らかっていると完了までの日程は延びやすいため、リフォームに伴い家の中の大掃除もしておくとよいでしょう。
絶対的に早く作業できる状態は、物(荷物、家具等)が無いことです。片付けながらのリフォームは非常に作業性が悪いです。ですので、物の撤去、掃除を済ませておきましょう。
複数の工事をリフォーム業者1社にまとめて依頼する
複数業者に工事を依頼すると、それぞれのスケジュールの兼ね合いで全体のリフォームがスムーズに進まないことも少なくありません。そのため、工期を短縮するには、1社にまとめてフルリフォームの依頼をすることがおすすめです。
依頼先を1つにまとめることでスケジュール管理がしやすくなり、作業も途切れることなく連続して行ってもらえるため、期間短縮はしやすいでしょう。
どの業者に依頼すべきか悩むなら、一括見積もりサイトのリフォスムにお任せください。要望や状況に応じて目的に合った専門業者を紹介し、専門業者選びがスムーズに進むようにサポートいたします。
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フルリフォームをする時の3つの注意点
フルリフォームで失敗しないためには、次の3つの注意点を守ることが大切です。
- 1.団地やマンションは管理組合へ申請が必要
- 2.団地の場合は構造上大掛かりな変更ができない
- 3.ご近所にあいさつ回りを忘れずにおこなうこと
スムーズにリフォームを完了させられるように、注意点は正しく把握しておきましょう。
既存の枠組みの耐久性・耐震性を調べる必要がある
リフォームを行うときには、既存の枠組みはそのまま利用して行います。そのため、この枠組み部分に十分な耐久性や耐震性があることが重要です。1981年6月以前に建築確認を受けて建てられた建物は、「旧耐震基準」で建てられており、「新耐震基準」を満たしておりません。ただし、耐震適合証明がある建物であれば問題ありません。
そのため、1981年6月以前に建てられた建物で、耐震適合証明がない場合には、耐震診断を行い、耐震性を調べる必要があります。そして、耐震診断を行えば必要な補強工事もわかるので、リフォームの際に一緒に補強工事を行うことができます。
ただしマンションの場合は、耐震診断は管理組合が行います。自身では耐震診断を行えないため、マンションを購入後にフルリフォームを検討しているのであれば、マンションを選ぶ段階で、新耐震基準を満たした物件を選ぶとよいでしょう。
団地やマンションは管理組合へ申請が必要
集合住宅に住んでいる場合は、リフォーム時には管理組合に相談や申請をしなければなりません。建物によってどこまでのリフォームが認められているかは異なり、場合によっては厳しく規制されていることもあります。
規約で定められた範囲を超えて勝手にリフォームをすると、後から管理組合から元に戻すよう命じられることもあります。余計なトラブルや出費を防ぐためにも、管理組合への申請は必ず行い、許可を取ってからリフォームを実施しましょう。
団地の場合は構造上大掛かりな変更ができない
団地やマンションだと、横の部屋との壁が薄いことも多く、構造上の問題から間取りの変更が難しいこともあります。そもそもフルリフォームでは間取り変更の制限は多少出ますが、団地などはこれがより顕著であると考えましょう。
壁が薄い、あるいは隣の部屋と繋がっているために壁を壊した構造変更はできず、他の部屋に影響しない範囲内での変更のみ可能となっています。
ご近所にあいさつ回りを忘れずに行うこと
業者の出入りや工事の音などで迷惑をかけることも多いため、近所へのあいさつ回りは工事開始までに必ず行いましょう。戸建てなら前後左右の周辺住宅に、マンションなら左右と上下の部屋にあいさつをしておくことが大切です。
あいさつをしていないくても作業自体は行えますが、後々近所トラブルになることもあります。余計なトラブルを招かないためにも、リフォームを行うことはきちんと伝えておきましょう。
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フルリフォーム時に依頼者がよくする質問
フルリフォームをする際には、次の3つの質問をする依頼者が多いです。
- 1.部屋数を増やせるか、または減らして広くできる?
- 1.思い入れのある部材を活かしてリフォームできますか?
- 1.不具合がある場合は原因を調べてから作業を行ってもらえるのか?
頻出の疑問に対する回答を知り、リフォームへの理解をさらに深めていきましょう。
【Q1】部屋数を増やせるか、または減らして広くできる?
壁や仕切りをつけることで部屋数を増やしたり、反対に仕切りの壁を壊して部屋数を減らし、1部屋を広くすることは可能です。構造上に問題がないなら、基本的には部屋数の増減はできます。ただし、マンションでは壁の取り壊しや設置などは管理組合に届け出る必要があります。
また、下地に木材を使っているなら、使用している部材次第では役所への届け出が必要なこともあるため、どのような対応が必要か事前に業者に確認しておくとよいでしょう。
【Q2】思い入れのある部材を活かしてリフォームできますか?
フルリフォームは今あるものを全て取り除き、全面的に新しくすることはもちろん、思い入れのある部材は残し、再利用することも可能です。
愛着のあるものはそのまま残し、既存の物を活かした工事をしてくれることもあるため、業者に相談してみるとよいでしょう。
【Q3】不具合がある場合は原因を調べてから作業を行ってもらえるのか?
リフォームの前には事前調査を行うため、家に不具合がある場合は原因を調べてから作業を実施してもらえます。悪徳業者でない限り、不具合をそのままにして作業は進めないため安心しましょう。信頼できる業者に依頼しているなら、より安心してリフォームを実施してもらえます。
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フルリフォームは詳細なポイントまで意識して取り組もう
工事の規模が大きいフルリフォームは、費用や上手に行うポイントまで、細かい点まで意識して取り組むことが大切です。動く金額が大きく、工事の手間もかかりやすいからこそ、綿密に計画を立てて、フルリフォームの成功を目指しましょう。