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ビルトイン食洗機は後付けできる?後付けの条件と工事にかかる費用

普段から家事をされる方は、「こうだったらいいな」「こうしたいな」という不満が、大なり小なりあると思います。その不満は毎日使うキッチンによくあるはずです。
家族の人数が増えたり、生活スタイルが変化していく中で、当時は必要ないと感じていたものが今は必要に感じていると思います。その代表的な物が食洗機です。
とくにキッチンの中に組み込まれるビルトインタイプは、作業スペースを確保したまま導入できるため、スッキリとした使い勝手が人気です。
今回の記事では人気のあるビルトイン食洗機(食器洗い乾燥機)を後付けしたい主婦の方々へ、どのような工事が必要か、費用はいくらかかるかを紹介していきます。
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目次
ビルトイン食洗機を後付けできるキッチンの条件は3つ
ビルトイン食洗機は誰でも、どんなキッチンでも導入できるものではありません。
キッチンの中に埋め込みして取り付けるものなので収納スペースが減ってしまいます。食器やキッチンツールを収納する場所を確保できなければ、食洗機のリフォーム工事はおすすめできません。
また、あとから取り付ける場合、そもそも工事ができるかどうかの条件があります。
その条件は主に以下の3つがあります。
- 持ち家である、もしくは大家さんの許可を得ていること
- 現在設置されているのがセクショナルキッチンではないこと
- キャビネットに一定以上のスペースがあること
条件を満たしているか確認しましょう。
条件1:持ち家である、もしくは大家の許可を得ていること
持ち家のキッチンであれば最初の条件はクリアです。しかし、安い工事ではないので同居家族と十分に話し合ってから決めましょう。
問題となるのは賃貸の住まいです。貸家やファミリー向けマンション・アパートはある程度長く家族が住むことが想定されているため、大家さんの許可が下りることがあります。大家の許可があれば工事が可能です。
しかし、賃貸住宅は退去時に現状復帰の義務が生じます。キッチンに後付けで食洗機を取り付けたのであれば、退去時には食洗機を外し、元の状態に戻す工事が必要になる場合もあります。もちろん、食洗機部分は原状回復しなくても良いと大家が判断する場合は不要です。
そのため、賃貸の場合は据え置き型食洗機が割安でしょう。
条件2:現在設置されているのがセクショナルキッチンではないこと
セクショナルキッチンとは賃貸住宅に多いキッチンで、コンロのスペースが一段低くなっているキッチンです。コンロを後から設置するタイプで、一人暮らしをした方は見覚えがあるかもしれません。
セクショナルキッチンはコンパクトな設計のため、ビルトイン食洗機を設置するスペースを確保できません。条件1の賃貸住宅に該当していれば設置しても現状復帰が必要です。
持ち家でセクショナルキッチンの場合、設置するスペースが確保できる可能性があります。一度業者に確認してもらい、意見を聞いてみることをおすすめします。
設置できなければ、キッチン本体を新しくするリフォームを視野にいれるようにしましょう。
条件3:キャビネットに一定以上のスペースがあること
家庭用のビルトイン食洗機はサイズのレパートリーが多くありません。
そのため最低限、取り付けのために必要なスペースが決まっています。
- キャビネットの高さは75㎝
- 食洗機を入れるための幅は45㎝
- キッチンの奥行きは60㎝
このスペースが確保できなければ食洗機は設置できません。取り付けたい食洗機のメーカーが決まっていれば、資料やパンフレットを取り寄せてリフォーム業者に寸法をみてもらいましょう。
最近購入した持ち家であれば、キャビネットサイズに問題ないことが多いです。
ただし、ある程度築年数が経ったお家の場合はキッチンの高さが低いこともあるので、その場合は条件2でもあるように、キッチン本体を新しくするのがいいでしょう。
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ビルトイン食洗機を後付けする際の費用
上記3つの条件がクリアできたら、ビルトイン食洗機を導入できます。
ここから問題となってくるのは食洗機取り付けに関わる工事費用です。
大きく分けて3つの費用項目があります。
- ビルトイン食洗機本体代金
- 設置工事に関する費用
- 追加になる可能性がある工事費用
既存のキッチンに後付けする工事は、予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。
ご紹介するのはあくまで概算費用なので、その他リフォームが必要になるかもしれないということを念頭に置いておきましょう。
費用その1:ビルトイン食洗機本体代金
ビルトイン食洗機を取り扱うメーカーで代表的なところは国内で3社、海外で2社あります。メーカーにより仕様や機能が違い、それにより金額も大きく変わります。
人気のメーカーを代表的な製品とともに紹介していきます。
メーカーその1:パナソニック
家電で有名なパナソニックは、ビルトインや据え置き型で食洗機を販売しています。パナソニックの代表的な匂い抑制機能「ナノイーX」はエアコンや空気清浄機にも導入されているので、知っている方は多いでしょう。
食洗機は水圧で汚れを落とすので気密の高い家電です。密閉された空間のため、食材から発生する匂いがこもりやすい環境となってしまいます。
そこでパナソニックでは匂い抑制機能ナノイーXが食洗機にも採用されています。
また「3Dアーム洗浄」機能で細かに噴射される温水が、こびりついた汚れを根こそぎ落としていくことが可能です。さらに「ストリーム除菌洗浄」機能で庫内を清潔に保ちます。
このようにパナソニックは洗浄力の高さと除菌、匂い抑制に力をいれているメーカーです。
メーカー希望小売価格はNP-45MD9Sビルトイン食洗機M9シリーズで246,400円です。
メーカーその2:リンナイ
主にビルトインタイプの食洗機を販売してきたリンナイですが、最近国内唯一のフロントオープンタイプの食洗機を販売開始し、話題となりました。
フロントオープンタイプとは、扉が90度開き庫内の上下2段の棚にどこからでも食器を入れられるようなフルオープンなタイプです。
それまでの引き出し式は上からしか食器を入れられなかったため、高さや配置を考えながら決まった場所に食器を入れていくしかありませんでした。
このフロントオープンはどこからでも好きなように入れられるので時短になり、かつ「タワーウォッシャー」機能で隅々まで洗浄できます。
乾燥後の取り出しもしやすく、庫内は清潔に保つ「銀イオンカートリッジ」機能もあります。
給湯器で有名なリンナイでしたが、このフロントオープン食洗機が出てからはCMでも国内唯一の食洗機として位置付けられました。
メーカー希望小売価格はビルトイン食洗機RSW-F402C-SVフロントオープン・ドアパネル型228,690円です。
メーカーその3:三菱電機
家電の老舗である三菱電機は、ビルトイン食洗機の種類と機能が豊富です。
スタンダードモデルは、取手を握ると押し出される「取手もラクドア」機能があり、ハイグレードモデルはワンタッチで自動オープンする「タッチDEラクドア」機能がついています。また、調理器具専用コースがあるモデルは、約1時間集中的に洗ってくれる機能があります。
通常の食洗機は深型でも調理器具まで入りきらないことが多いので、色々な器具を使いこなす方には嬉しい機能です。庫内の下と横から温水を噴射する「ターボ噴射」機能は勢い良く汚れを流すことが可能です。
しつこい汚れには「シャワーミスト」機能のモデルであれば、汚れをふやかして浮かせるつけおき洗いの効果を発揮します。
多種多機能な三菱電機の食洗機ですが、「W除菌」やターボ噴射は全シリーズ対応なので、欲しい機能を選んで機種を選択できます。
メーカー希望小売価格はEW-45MD1SMU深型 / 前面操作(ステンレス製) / ドア面材仕様204,000円です。
メーカーその4:ミーレ
海外食洗機で代表的なのはドイツ製のミーレではないでしょうか。その最大の特徴はフロントオープンと大容量の庫内です。
海外ではお客を招いてホームパーティーをすることが多いため、余裕で対応できると謳う庫内は、およそ14人分の食器を収容できます。大容量のため納められるキッチンでないといけませんが、日本製キッチンでも十分に対応できるサイズです。
ミーレには浅型タイプがないので少ない人数や食器には不向きといえますが、水や洗剤の量は自動で調整してくれるため、一般家庭の食器量で使用しても無駄なく節水と節電になります。
食器に優しい洗浄力はワイングラスメーカーのリーデル社のお墨付きで、その高い洗浄力と静かな運転音が魅力です。専用のスマホアプリと連携することもできるので遠隔で操作できます。
メーカー希望小売価格はG7104CSCU標準ドア装備タイプ429,000円です。
メーカーその5:ボッシュ
海外食洗機でミーレと同じドイツ製のボッシュは、販売台数世界No.1と人気があります。ボッシュもフロントオープンを採用しており、大容量の庫内は1日3回の食器洗いを1回にすませられるほどです。
本体幅が45㎝か60㎝と2種類あるため、リフォームでも導入しやすいサイズです。
ドイツは環境への配慮に企業も尽力しており、ボッシュも自動で洗剤量と水量を調整してくれます。汚れがひどいときはパワフルな洗浄コースを選べるので、食器だけでなく調理器具も一緒に洗えます。
また、「ゼオライトドライ」機能は温風での乾燥に頼らず、余熱による乾燥時に発生する水蒸気をゼオライトに吸収させ、水蒸気に反応したゼオライトが発熱するため庫内を高温に保って乾燥させることが可能です。
メーカー希望小売価格は幅60cmSMI4ZDS016(ドア面材取付タイプ)ゼオライトシリーズ393,800円です。
費用その2:設置工事に関する費用
新しくビルトイン食洗機を新設する場合にも、既存の食洗機と取り換える場合にも、工事費は5~10万円程度かかります。
基本工事として給排水接続・処分・出張費用がかかります。また、新設も既存の食洗機の取り換えも費用は35,000円程度です。
既存の食洗機と取り換えであれば、給排水も電源も既存のものを使うので、追加費用が発生しにくくなります。
新設の場合は取り付けするために給排水と電気工事が追加でかかります。処分費用はキャビネットや既存の食洗機を業者が引き取り処分する費用です。キャビネットだけなら基本工事費用に含まれていることが多いようです。
費用その3:追加になる可能性がある工事費用
ビルトイン食洗機を新設する場合は、工事が増えるため費用が増えます。
工事内容は以下の3つです
- シンク下の水栓から給水管を分岐し食洗機と接続
- 食洗機内を排水するために、キッチンの排水管と食洗機の配水管を接続
- 食洗機はコンセント式がほとんどのため、キャビネット内にコンセントを増設
これらの工事はそれぞれ10,000円以上みておくとよいでしょう。
古いキッチンであれば部材の交換が出ることもあるので、見積もりをもらったら項目をしっかりチェックしてください。
食洗機は高温のお湯を作るため、一時的な電気消費量が多くなりがちです。その電源が落ちるのを避けるため、分電盤に回路を作る費用が発生することもあります。その際の費用は30,000円以上かかります。
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ビルトイン食洗機の取り付けにかかる時間
実際に工事が始まると1日以内で終了します。朝から始めると昼過ぎには片付けになるので、全体で6時間くらいの工程です。
スムーズに作業を進めるには最初の準備も肝心です。作業スペースの確保と取り付け予定の箇所以外の引き出しの中身も全て出しておきます。
作業時はシンク下に上半身を入れて作業するため、できるだけ空っぽに近いほうが作業はしやすくなるでしょう。
また、新設する際は電源を持ってくる必要があります。事前に業者からどの辺りから電源を持ってくるか確認してもらうために、近くの壁のコンセント周辺も片付けておきましょう。
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後付けできるビルトイン食洗機にはどんな種類がある?
後付けするタイプのビルトイン食洗機は3つの種類があります。
- 浅型と深型
- フロントオープン型とスライドオープン型
- ドアパネル型とドア面材型
食洗機と一口にいっても使い勝手はそれぞれで、自分達には何が合うのか分かりにくいと思います。
そこで3種類の違いを紹介していきますので、これから導入を考えている方は参考にしてみてください。
種類その1:浅型と深型
浅型はミドルタイプともいわれており、容量は40L程度です。家族構成は3人まで、食器は40点程度の収納量になっています。
メリットとしては安価であること、食洗機下に引き出しをつけることが可能なことです。単身者や夫婦のみであれば十分な大きさといえるでしょう。
深型はディープタイプともいわれており、容量は60L程度です。家族構成は4人以上、食器は60点程度の収納量になっています。
メリットとしてはその収納量です。共働きの世帯が増えて家事にかける時間が短くなっているので、お弁当や朝と夜の食器をまとめて終わらせたいと思う主婦が増えました。
核家族であってもこの収納量は魅力的で導入を検討されています。
家族構成や食器の点数は目安のため、普段から使う食器のサイズや毎日使う点数から考えてみるといいでしょう。
種類その2:フロントオープン型とスライドオープン型
食洗機の開け方は2種類あります。
それぞれのメリットやデメリットがあるので下記の表を参考にしてください。
フロントオープン型 | スライドオープン型 | |
---|---|---|
メリット | ・スライドオープンよりも多い食器収納量60点~90点程度 ・食器の出し入れで順番を考える必要がない ・調理器具や鍋まで入れられる ・一度にたくさん洗えるので1日1回で足りる |
・本体価格が安価 ・引き出したとき場所を取らない ・出し入れ時に水滴が垂れにくい ・パネルデザインが豊富 ・フロントオープンより省スペースで食器が出し入れできる ・食器がはみ出さない |
デメリット | ・本体価格が高額 ・食器の出し入れの際に屈む必要がある ・水滴が垂れやすい ・スライドオープンよりも大きく開くため場所を取る ・食器がはみ出ると閉められない |
・フロントオープンよりも少ない食器収納量40点~60点程度 ・食器は上からしかいれられないので順番を考える必要がある |
種類その3:ドアパネル型とドア面材型
後付けでビルトイン食洗機をいれる場合は、ドアパネル型かドア面材型かで印象が大きく変わります。
まずドアパネル型は食洗機本体にパネルが付いているので完成品としてすぐ使えます。今使っているキッチンがやや古い場合はこのドアパネル型がいいでしょう。
築浅物件で新しいキッチンの場合はドア面材型がおすすめです。
ドア面材型はパネルが付いていないタイプなので、キッチンメーカーに問い合わせることでキッチンと同じカラーをパネルとして使えます。
そのため後付けでも馴染みが良く、最初からあるような一体感を得られるはずです。
面材を手配しないとドア面材型食洗機は使用できません。
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ビルトイン食洗機に寿命はあるの?
寿命は10年程といわれています。
これは使用頻度にもよるため、おかしいと感じたら点検してみましょう。
普段使っているうちにモーター音が大きくなったり、聞きなれない音がしたりすることがあります。
他にも、洗い終わったはずのお皿に洗い残しがあったり、水漏れがみられたりするようなら寿命のサインです。
保証期間を確認して、期間内なら修理点検を依頼しましょう。しかし5年以上経っている場合は、交換できる部品がないこともありえます。長く使っていくためにも、月に1度はメンテナンスすることをおすすめします。
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ビルトイン食洗機の後付けはDIYできる?
流行しているDIYで、家のリフォームに取り組む方もいるでしょう。
ビルトイン食洗機を取り付けるDIYはできないことではありません。しかし、失敗した時に取り返しがつかないことが起きる可能性があります。
キッチンが壊れてしまったり、買ったばかりの食洗機を壊してしまったりするケースも考えられます。
安く済ませようとして修理費が高くついては元も子もありません。
資格を有した業者に依頼するのが一番安心で安全です。
給水装置設置技術主任者、排水設備工事責任技術者、第一種電気工事士、第二種電気工事士の資格を持つ業者を探し、相見積もりを取って費用を比較しましょう。
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相見積もりで料金比較することで信頼できる業者を選定しよう
相見積もりとは、一つの工事に対していくつかの業者から見積もりを取ることです。個人業者から大手業者まで比べてみて、項目を比較できます。
時間がかかり面倒に感じるかもしれませんが、相見積もりはとても重要です。
まず、業者によって得意・不得意があります。見積もりの内容が細かい項目に分かれていると、ある程度経験がある業者です。工事一式でまとめられている場合は、内訳を業者に確認しましょう。
基本は「本体価格+取り付け費用+その他の費用」です。さらに無駄な工事が入っていないか確認できます。大事なお金が盗まれないようにしっかりと比較しましょう。
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まとめ:ビルトイン食洗機の後付けで快適なキッチンライフを手に入れよう
生活の質を向上させるために、家事を時短させるための家電が増えてきました。今まで当たり前にしていたことを家電に任せることで、時間に余裕が生まれて好きなことをする時間を増やせます。
ビルトイン食洗機は家族と話をする時間を増やしてくれて、忙しい日々を助けてくれます。ただ安い工事ではないので、しっかり比較検討することが後悔のないリフォームへ繋がります。
これから見積もりをしていくにしても、業者から相見積もりをとり、商品を比べてみて自分達のライフスタイルに合ったものを選んでください。